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日米2プラス2 軍事一体化の危険さらに

 米国との軍事分野での一体化がさらに加速することになる。

 日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)の共同文書は、宇宙やサイバー空間など新たな防衛領域での連携強化を盛った。

 念頭にあるのは、ロシアや中国だ。軍拡競争に日本が加担し、助長することにならないか。国内で深く議論もせず、前のめりに進めるのは認められない。

 共同文書は宇宙、サイバーに加え、通信妨害が心配される電磁波の領域での急速な技術進歩に懸念を表明した。3領域を対処が必要な優先分野と位置付けている。日本へのサイバー攻撃は、米国の防衛義務を定めた日米安全保障条約の適用対象とも確認した。

 日本政府が昨年12月に閣議決定した新たな「防衛計画の大綱」と同じ趣旨である。新領域に対処する能力の獲得、強化を打ち出していた。従来の陸海空だけでなく新領域を含め、垣根を越えて運用する「多次元統合防衛力」を基本的な考えに据えている。

 防衛省は「サイバー防衛隊」を既に設立しており、2022年度には航空自衛隊に「宇宙領域専門部隊」の創設を予定する。米軍との一体運用により、自衛隊の活動が野放図に拡大しかねない。

 トランプ米大統領は1月にミサイル防衛強化のための新戦略を発表し、宇宙への重点投資を表明した。音速を大きく超える速度で精密攻撃する極超音速兵器など中ロが開発する新型兵器に対抗するため、宇宙配備型の迎撃システムの実現を目指すという。

 新戦略を発表した演説でトランプ氏は「米国は多くの裕福な国を守っている」とし、同盟国に「公正な費用分担」を求めていた。今後、安全保障に関わる費用の負担増や兵器購入の一層の拡大を迫られる可能性がある。

 中ロの脅威を強調し、力で張り合うことが地域や世界の安定に資するのか。かえって緊張を高める心配が拭えない。宇宙、サイバーを巡って急がなければならないのは、軍事に歯止めをかけるための国際ルール作りだ。外交にこそ力を傾けるべきである。

 中国に対して共同文書は、東シナ海、南シナ海情勢にも触れ「現状を変更しようとする一方的な試み」に深刻な懸念と強い反対を表明した。この先、中国との関係改善をどう図っていくのかも改めて問われる。

 日米一体化について政府はリスクを含め、国会や国民に考え方を詳しく説明する責任がある。

(4月21日)

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