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地域清掃で共生の一歩 坂城のモスクに通う外国人と地元区

区長の上野さん(左)から集めたごみの分別方法を聞くラッスールさん(右)ら区長の上野さん(左)から集めたごみの分別方法を聞くラッスールさん(右)ら
 埴科郡坂城町南条にあるモスク(イスラム教礼拝所)に通う外国人たちが12日、地元の新地(しんち)区(自治会)の清掃活動に初めて参加した。顔を合わせて互いの文化を知る機会を持ちたいとモスク側が申し入れて実現。南アフリカとインドネシアの8人が日本人住民と公民館で草むしりをしたり歩道のごみを拾ったりして、近くて遠かった距離を縮める一歩を踏み出した。

 モスクは2006年に設立。町内や隣の上田市を中心に東南アジアやアフリカ出身者など約300人が休日や仕事の合間に出入りし、祈りをささげている。ただ、ほとんどは通いで、この十数年、地域との接点はなかった。

 きっかけは、モスクを管理する南アフリカ人、オマール・ラッスールさん(49)が、自宅のある上田市の地元区の掃除や祭りなどに参加するようになったこと。25年ほど前に来日し、中古車販売をしながら日本人女性と結婚。小学校から高校まで4人の子を地元の学校に通わせる中で、給食の豚肉が宗教上の理由で食べられず弁当を持参させるなど、イスラムの習慣、文化を周囲に理解してもらう必要性を感じるようになった。

 区の活動に参加してみて、「日本の習慣や文化を知り、生活しやすくなった」とラッスールさん。モスクに通う外国人から、それぞれの居住地でのごみの出し方など生活上の困り事相談を受けることも多く、「外国人も地域行事に参加すれば日本をもっと理解でき、暮らしやすくなるのではないか」と思い立った。

 昨秋、時々モスクを訪れる千曲署員を介して新地区に「(住民に)イスラム教やモスクのことを知ってもらい、お互いに暮らしやすい地域にしたい」と行事参加を打診。モスクの存在は知っていたが、どう関わっていいか分からずにいたという区長の上野敬一さん(71)らも協議の上、受け入れることにした。

 この日は午前6時、公民館に住民約60人と外国人8人が集合。上野さんに促されてラッスールさんが日本語で「よろしくお願いします」と話すと住民らは拍手で歓迎。国道18号沿いの歩道や公民館の庭などを掃除している外国人たちに、「ご苦労さま」「お国は違うけど立派だね」などと声を掛ける住民もいた。

 イスラム教を巡っては、一部過激派による海外のテロ事件などに絡めて報じられることも多く、地元にはモスクから漏れ聞こえる礼拝の声が「怖い」とこぼす住民もいる。それだけにラッスールさんは「このモスクに通っているのはまじめに仕事をして、生計を立てていきたいと思ってる人ばかり。交流を通じて仲良くなれば不安も減ると思う」と期待する。

 塗装会社で技能実習生として働くインドネシア人のムム・ムスリフディンさん(30)は会社の寮で生活し、住民と接点はなかったといい、「顔見知りになって、少し仲良くなれたかと思う」と打ち解けた様子。「正直言えば、(宗教が異なり、習慣も違うため)深くは付き合えないと思う」と話す住民の男性(62)も、この日の活動を通じて「相手を知るいい機会になった。地域としても外国人を受け入れ、お互いに仲良くやっていきたい」と話した。

(5月13日)

長野県のニュース(5月13日)

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