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入管の親子分離 理不尽な対応を改めよ

 在留資格がない非正規滞在の外国人だからといって親子が無理やり引き裂かれていいはずはない。強制退去の手続きに際し、分離して収容する理不尽な対応を入管当局は改めるべきだ。

 親から引き離された子どもは2017年、28人に上り、前年の4人から急増した。それ以前の3年は1人か2人だった。

 入管当局は近年、非正規滞在者への対策を厳格化している。それに伴い、子どもの精神的な負担に配慮して親の拘束・収容を避けてきた従来の姿勢にも変化が生じたことをうかがわせる。

 引き離しが増えた理由を入管側は明らかにしていない。親子分離をしない原則に変わりはないとしつつ、養育能力がない場合は親を収容し、子どもの保護を児童相談所に委ねると説明している。

 けれども、言葉通りには受け取れない実態がある。17年に成田空港で入国を拒否されたクルド人の一家はその場で拘束されて夫婦が別々に収容され、未就学の子ども2人は児相に送られた。

 子どもはどこにいるのか。無事なのか―。日本の支援者が探し当てるまで、両親には知るすべがなかったという。必要に応じて居場所を伝えているとする入管側の説明と食い違う。

 一家は難民としての保護を求めて来日した。いきなり拘束・収容して身体の自由を奪うこと自体が不当だ。家族を引き裂くことは、国際人権規約や子どもの権利条約の趣旨にも反する。

 強制送還され、日本に残した家族と離れることを余儀なくされた人もいる。不法入国や非正規滞在の取り締まりの陰で、人権がないがしろにされていないか。厳しい目を向けていく必要がある。

 収容施設のあり方にも問題が多い。本来は、強制退去を命じられた人を一時的に留め置く場所だ。ところが、対策の厳格化に伴い、送還の見通しがないまま収容が長期に及ぶ人が増えている。仮放免で施設を出ることを認めない傾向も目に見えて強まった。

 収容期間について法に上限の定めはなく、裁判所の審査もない。入管当局の裁量次第だ。外部との連絡は制限され、受刑者のような不自由な生活を期限なく強いられる。心身の負担は大きく、自殺や自殺未遂が相次いでいる。

 職員から暴力や暴言を受けたといった訴えも絶えない。各地で収容者が裁判を起こしてもいる。人権や尊厳が守られているとは言いがたい入管行政の現状を根本から改めていかなくてはならない。

(5月14日)

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