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経済情勢の判断 冷静な分析が欠かせない

 内閣府が3月の景気動向指数で、経済情勢の基調判断を「悪化」に引き下げた。

 景気が後退した可能性が高いことを示している。中国など海外経済の停滞が輸出に波及し、生産が減少したことが理由である。「悪化」は2013年1月以来、6年2カ月ぶりになる。

 企業の生産活動を中心とした各種の指標から機械的に算出される。1月は「下方への局面変化」だった。一段と景気に対する懸念が強まったといえるだろう。

 政府は今月下旬の月例経済報告で景気認識を示す。報告には政治的な判断が入り込む余地があるとされる。3月の報告では景気判断を下げた後も「緩やかに回復」との文言は残していた。

 円安と好調な海外経済に頼った輸出主導の景気回復というシナリオは崩れつつある。雇用情勢は底堅いものの、予断は許さない。

 アベノミクスの成果に固執し、名前だけの「回復」を続けても意味はない。経済情勢を慎重に見極めて、必要ならば対策を考える必要がある。

 世界経済は米中の貿易戦争の影響で先行きが見通せない。

 トランプ米政権は制裁措置の「第4弾」として、中国からの輸入品3千億ドル(約33兆円)分に最大25%の追加関税を課すと発表している。スマートフォンや靴など3805品に上り、消費財が幅広く含まれる。6月末に発動されれば、ほぼ全ての輸入品が追加関税の対象になる。

 中国も対米報復関税に乗り出している。米国からの輸入品600億ドル(約6兆6千億円)分の追加関税率をこれまでの最大10%から最大25%に引き上げると発表している。発動日は6月1日だ。

 影響は既に出ている。中国の国内総生産(GDP)は伸び悩み、政府の財政支出の拡大で支えている状況だ。日本企業の中国向け輸出不振も、これが主因である。

 米国が今回発表した追加関税を発動すれば、世界各国のサプライチェーン(部品の調達・供給網)も混乱する可能性が高い。日本への影響もさらに大きくなる。

 ただ、政府と日銀の打つ手は限られる。政府が公共事業などの財政支出をしても人手不足が原因で即効性に乏しい。日銀の金融緩和も限界だ。消費税率増税の延期論もくすぶるものの、財政再建を先送りすれば国際的な信認を失い、国債価格に跳ね返る懸念もある。

 世界経済の動向を注視しつつ、影響を最小限に抑える効果的な策を見いだす必要がある。

(5月15日)

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