長野県のニュース

伊那で移動診察車実験 市とソフトバンク・トヨタ出資会社

 伊那市は14日、遠隔で医師の診察を受けられる移動診察車の実証実験を本年度始めると発表した。ソフトバンクとトヨタ自動車の共同出資会社「モネ・テクノロジーズ」(東京)との連携事業。移動診察車が中山間地域に暮らし通院に不自由する患者宅などに出向き、医療機関にいる医師と映像で結ぶ。県医療推進課は「把握している限り県内では初めて」としている。

 中山間地域が多い同市で患者が通院する手間を省ける利点があり、医療機関にとっても、医師が移動に充てる時間を他の患者の診察に使えるなど効率化が見込める。実験は2020年度までの2年間。早ければ21年度の実用化を目指し、将来は自動運転車両も導入する構想だ。

 糖尿病や高血圧、ぜんそくなど症状が安定した慢性期の患者を対象に想定。トヨタの車両1台を移動診察車に改造し、運転手と看護師が患者宅などに出向く。看護師は医療機器を積んだ車両内で患者の血圧や血中酸素濃度などを測定する。医療機関にいる医師と車両を映像で結んで診察する。

 現段階で市内3医療機関が実験に参加予定。複数の医療機関が移動診察車を共同利用することで維持管理費の抑制につなげる。配車サービスなどのシステム構築を手掛けるモネは、効率的な運行ルートや駐車場所などを運転手に伝えるシステムを提供する。

 今秋以降に実験を始める計画で、訪問看護・介護や保健指導での活用も検討する。パソコンやスマートフォンを使って薬剤師が離れた場所から薬の飲み方を説明する「遠隔服薬指導」が20年4月にも解禁される見通しで、20年度は車両内での遠隔服薬指導の実験も検討している。

 モネは2月、全国17市町と連携し、インターネットを使った多様な配車サービスに取り組むと発表。県内で唯一参加した伊那市が、第1弾となる今回の実験を同社に提案した。

 この日、市役所で白鳥孝市長と連携協定書に調印した同社の柴尾嘉秀副社長は「自動運転社会を見据えた新しい取り組みを進め、同様の課題がある全国の地域に展開していきたい」と話した。

(5月15日)

長野県のニュース(5月15日)