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丸山議員の発言 離党だけでOKですか

 国会議員の資格どころか、大人としての常識を欠いている。

 日本維新の会の丸山穂高衆院議員が、北方領土訪問団の団長に対し、「戦争でこの島を取り返すことは賛成ですか、反対ですか」「ロシアが混乱しているときに取り返すのはオッケーですか」と言い放った。

 高まる批判を受け、維新の会は丸山氏の離党届を受理せず、党で最も重い除名とした。丸山氏は議員は続ける意向で、他党は辞職勧告決議に向け動き始めた。

 平和国家としての歩みにも無理解なのだから、当然だ。

 丸山氏は大阪19区選出の35歳で当選3回。沖縄北方問題特別委員会に属し、10日に出発した「ビザなし交流」訪問団に同行した。

 宿舎で「戦争なんて言葉は使いたくない」と応じる大塚小弥太団長に、酒に酔った丸山氏は「戦争しないとどうしようもなくないですか」などと迫った。

 そればかりか、禁止されている夜間外出をしようとして大声で騒ぎ、翌朝、子どものように叱られている。ロシア当局に拘束されていたら、交流事業の継続が危ぶまれたかもしれない。

 国後、択捉、歯舞、色丹の帰属を巡るロシア側との交渉は難航している。

 昨年11月の日ロ首脳会談では、1956年の日ソ共同宣言を基礎に、平和条約締結交渉を急ぐことで合意した。宣言には、歯舞と色丹を日本に「引き渡す」と記されており、日本側では2島先行返還の観測が広がった。

 年が明けて外相会談が始まるとロシア側の姿勢は硬化する。北方領土がロシア主権下にあると認めることが交渉の絶対条件だと主張し、日本側が「固有の領土」「ロシアによる不法占拠」の文言を使うことにも抗議してきた。

 安倍政権は腫れ物に触れるように交渉を続ける。最近はプーチン大統領が「交渉のテンポは失われた」と述べ、早期の条約締結と領土返還は絶望的になった。

 元島民は固唾(かたず)をのんで情勢を見守っているに違いない。92年から続く交流事業で、ロシア住民との相互理解を育んでもきた。丸山氏の発言の影響を心配し、泣きだす人もいたという。

 維新の会の松井一郎代表は問題が発覚した当初、「言論の自由」を持ち出し、丸山氏をかばうような発言をしていた。

 関係者の心情や周囲への影響もお構いなしに、言いたいことを言うのが言論の自由なのか。政治家の言葉が軽くなるばかりだ。

(5月16日)

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