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松本「旧開智学校」国宝に 擬洋風校舎「教育の黎明象徴」

国宝指定が答申された「旧開智学校校舎」の正面側。中央に八角形の塔屋を載せ、近代教育初期を象徴する擬洋風建築として評価された=17日、松本市開智2国宝指定が答申された「旧開智学校校舎」の正面側。中央に八角形の塔屋を載せ、近代教育初期を象徴する擬洋風建築として評価された=17日、松本市開智2
 国の文化審議会(佐藤信会長)は17日、明治期に建てられた松本市開智2の重要文化財「旧開智学校校舎」を新たに国宝に指定するよう柴山昌彦文部科学相に答申した。明治以降の学校建築の国宝指定は初めて。和風の伝統技術を用いて洋風に仕上げた建築が特徴で、「近代教育の黎明(れいめい)を象徴する最初期の擬洋風学校建築として、深い文化史的意義を有している」と評価された。近く答申通り指定され、県内では10件目の国宝となる。

 県内で新たな国宝指定は2014年の茅野市の縄文土偶(通称「仮面の女神」)以来。県内の建造物が国宝に指定されるのは1953(昭和28)年の善光寺本堂(長野市)、仁科神明宮(大町市)、大法寺三重塔(小県郡青木村)以来で、松本市では52年の松本城天守に次いで2件目。

 旧開智学校校舎は1876(明治9)年の建築で、木造2階建て建築面積514平方メートル。地元の大工・立石清重(1829〜94年)が開成学校(東大の前身)などを参考に設計したとされる。

 正面中央に八角形の塔屋を載せ、西洋風の趣がある一方、唐破風屋根や灰色のしっくいで擬似的に石積みを表現するなど日本の伝統技術やデザインを組み合わせた。当時としては珍しく、学級ごとの教室や広い講堂を備えている。

 県内には近代教育、信州教育のシンボル的存在として、1年早く建築された重要文化財「旧中込学校校舎」(佐久市)なども残るが、旧開智学校校舎は「当時の他の学校と比べてもかなり先進的」(文化庁文化財第2課)と評価された。

 旧開智学校校舎の国宝指定答申は、創建140周年に合わせた2016年からの調査が決め手の一つ。大工の立石が東京や神奈川の洋風建築を見学した際の帳面や、扉のデザインを検討したとみられるスケッチなどから、設計過程や当時の建築事情が分かるという。

 旧開智学校は当初、「筑摩県学」として旧松本藩の菩提(ぼだい)寺だった女鳥羽川沿いの全久院(松本市中央1)に置かれた。全久院は同藩の廃仏毀釈(きしゃく)で廃寺になり、校舎は跡地に建てられた。PTAなどの活動に後押しされ、1961年に重要文化財に。63年まで校舎として使われた後、現在地に移され、65年から博物館として公開されている。

(5月18日)

長野県のニュース(5月18日)