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丸山氏の発言 国会は戦争否定の意思を

 発言の真意を改めて説明するべきだ。

 戦争で北方領土を取り戻す是非に触れる発言をした丸山穂高衆院議員である。

 紛争を解決する手段に武力を容認する風潮につながりかねない。国会議員の発言として許されない。

 与野党が辞職や猛省を求める決議案を国会に提出している。

 野党6党派が提出した辞職勧告決議案は「国是である平和主義に反し、国際問題にも発展しかねない」と批判している。与党のけん責決議案も「平和主義を理解していない常軌を逸した言動」とした。当然だろう。

 問題の本質は、外国との問題を戦争という手段を用いて解決するという思考が、国会議員の口から飛び出したことにある。

 発言は、北方領土ビザなし交流訪問団の団長との間で交わされた。「戦争でこの島を取り返すことに賛成か、反対か」と質問した。団長が戦争を何度も否定しても「戦争しないとどうしようもなくないですか」と問い詰めた。

 見過ごせないのは、発言後の説明の中で、戦争という手段を明確に否定していないことだ。

 丸山氏は記者会見で「(戦争が)最善とは全く思っていない」と述べている。

 野党が辞職勧告決議案を提出した後には、「(発言が)憲法の理念を逸脱しているとは考えていない」と強調した。戦争を主張したのではなく、賛否を聞く形だったことを理由にしている。

 発言を撤回した理由が、北方領土返還を巡る外交の経緯や今後への影響、元島民への配慮だけだったともとれる。説明はまだ不足している。

 専守防衛を旨として、近隣諸国に軍事的な脅威を与えない抑制的な姿勢は日本の基本方針である。安倍晋三政権の方針で安全保障政策の転換が加速する中、国会議員は平和主義の意義を改めて自覚しなければならない。丸山氏は議員の資格を欠いている。

 失言などで閣僚などを辞めた議員を抱える自民党は、問題発言を理由とした辞職勧告決議案に同調せず、公明党とともにけん責決議案を提出した。国会議員の身分は憲法で保障されており、辞職勧告決議案が可決されても法的拘束力はない。丸山氏は可決されても議員を続ける意向を示している。

 国会は今回の問題を深刻に受け止める必要がある。丸山氏に真意をただすとともに、武力による紛争解決を明確に否定する姿勢を示さなければならない。

(5月23日)

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