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落石防護柵  後付け新工法 大町の北陽建設が独自構造

支柱の固定部分に取り付けた衝撃吸収用のゴム(中央の黒い部分)支柱の固定部分に取り付けた衝撃吸収用のゴム(中央の黒い部分) 新開発の落石防護柵。既存のブロック擁壁に支柱を固定できる新開発の落石防護柵。既存のブロック擁壁に支柱を固定できる
 地滑り対策などの土木工事が主力の北陽建設(大町市)は、道路山側の斜面にあるブロック擁壁に後付けできる落石防護柵を開発した。1980年代のバブル期に集中的に設置された落石防護柵が耐用年数を過ぎ、更新期を迎えていることに着目。施工がしやすく、工期も短い独自構造の防護柵を使った新工法で、地形的に落石の起きやすい県内を中心に、更新需要を取り込む。新工法だけで年間約4億円の売上高を目指す。

 「TFバリア」と名付けた新開発の防護柵は「くの字」型の支柱、支柱の間に張る二重構造の金網、支柱を固定するため擁壁を経て地面に打ち込む鉄柱などで構成。傾斜がついたブロック擁壁に「くの字」の下部を固定し、上部に張った金網で落石を受け止める。支柱の固定部分に住宅制振用のゴムを使用し、落石の衝撃の一部を吸収する。これらの独自構造で特許を出願している。

 北陽建設によると、落石防護柵は斜面の木々を伐採した後、重機を使って地中深くまで柵の支柱を打ち込む手法が主流。一方、TFバリアの支柱は軽量で、小型クレーンで設置できる。材料費、人件費を含む設置費は、長さ1メートル当たり20万円程度。工期の短縮による人件費の圧縮などで低く抑えられるとしている。

 同社は災害対策を強化する政府の「国土強靱(きょうじん)化計画」を追い風に、公共事業の需要が当面底堅いと予想。新工法による落石防護柵の設置は、一般道路に加え、鉄道や高速道路が走るルート沿いの斜面でも需要があると見込む。県内全域を中心に、営業拠点がある岐阜、静岡の両県でも需要を開拓する。

 北陽建設は1930(昭和5)年創業で、現在の従業員数は約180人。2019年5月期の売上高は前期比27・5%増の61億5200万円だった。増収は7期連続で、このうち約3割を落石防護柵工事が占める。土砂災害などを防ぐのり面での特殊工事を得意とし、地表踏査、ボーリング調査のようなコンサルタント事業も手掛けている。

 原滋俊社長は、調査から設計、施工まで一貫して対応できる強みを生かし「いち早く現場のニーズをつかみ、新しい技術を提案していきたい」と説明。人員態勢に課題があり、人手不足解消に向けて労働環境の改善も進める方針だ。営業拠点の新規開設を視野に入れており「中長期的には売上高100億円規模を目指したい」としている。

(6月4日)

長野県のニュース(6月4日)