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札幌幼児衰弱死 連携欠いた児相と警察

 東京都目黒区、千葉県野田市に続き、またも救えなかった。

 札幌で2歳の女児が衰弱死した。虐待が疑われている。

 児童相談所と警察は母子と接触していたが、対応はずさんで、経緯を巡る説明も食い違うありさまだ。現場の人員も追いついておらず、これでは子どもの悲鳴はいつまでも消えない。

 4月5日、女児の泣き叫ぶ声を聞いた近隣住民が児相に連絡した。職員が訪ねたが不在だった。通告から48時間以内に安全を確認するルールはここで無視された。児相は昨年9月、母子に面会した際、虐待はないと判断していた。

 5月12日、今度は警察に住民から110番通報が入る。母親に面会を拒まれた警察は強制的に立ち入る「臨検」の検討を児相に求めたというが、実施されなかった。

 警察は15日に母子と面会し、足の裏のやけどなどを見つけた。「ヘアアイロンを踏んだ」との母親の説明を受けて児相に「虐待は疑われない」と連絡。児相もその後、母子に面会できていない。

 6月5日に母親が119番通報し、女児は病院で死亡が確認された。遺体には複数のあざなどがあった。母親は交際相手の男とともに傷害容疑で逮捕された。

 問題が多い対応だ。そもそも警察は児相を援助する立場で、虐待の判断は児相側に責任がある。女児の体重は6キロと平均の約半分で、児相が面会していれば虐待に気づいた可能性がある。

 警察は面会の同行を児相に2回断られたとし、児相はうち1回は警察に同行を断られたと、反対の説明をしている。臨検の検討も児相は「警察から要請されたとは理解していない」と否定した。双方の意思疎通の不足は明らかだ。

 背景には、限られた人員で相談や支援、保護に追われる児相の人員不足と疲弊も見て取れる。

 2017年度の虐待相談対応件数は全国で13万3千件余と、この10年で3・3倍に急増している。一方、相談や支援に当たる児童福祉司は昨年4月現在約3400人で、10年で1・4倍しか増えていない。国は配置基準を見直し、22年度までに約2千人を増員する方針だ。それでも12年度の約2倍にとどまる。今後の虐待の増加に十分対応できるか。専門的な人材を短期間に増やす目標の達成も、容易ではないだろう。

 今回の事件を教訓に、現場は責任を強く自覚、反省し、政府は十分な予算を割いて人材を育て、現場に届ける。そうでなければ、死んだ子が浮かばれない。

(6月11日)

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