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異なる集団を一つにするのは人の組織ならずとも厄介なようだ。中川村の蜂研究家、富永朝和さんがニホンミツバチの一方の巣を逆さにすることで合同に成功した。6日付の本紙にある。双方の女王蜂も一緒にできたのが画期的という

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ミツバチは「巣仲間認識」の能力があるため別の群れを攻撃する。特に狙われるのが女王だ。越冬準備などで養蜂家が合同するときは、強い女王を1匹残して日本酒を吹きかけたり間に新聞紙を挟んだりする。すると混乱してか、けんかにならずに済む

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ミツバチは効率的な分業が発達した社会性昆虫である。繁殖期以外は女王と雌の働き蜂だけになる。巣作りや掃除、育児、女王の世話、蜜集め、門番などの仕事に雄の出番はない。交尾が終わると追放されてしまう。女王は雌雄の産み分けによって不要な雄を抑えることもできる

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指示を出すリーダーがいないのに全体がうまく回っているのも面白い。働き蜂にも怠け者がいて、忙しくなると働き始める。別の仕事から移ってくる蜂もいる。原野健一著「ミツバチの世界へ旅する」に教えられた。さて人の集団も合同となれば大変だ

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世界一の自動車メーカーを目指した欧米大手との統合話が頓挫したルノーと日産。ミツバチのように混乱に乗じて、とはいかなかった。再び主導権をめぐる確執が先鋭化している。双方のリーダーや後見役の思惑も関係を複雑にする。統合にメリットはあるか。鋭い洞察力が問われている。

(6月11日)

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