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ソバの実りにアリが一役? 受粉橋渡し役か 東大院研究室 飯島で調査

ソバの花の上で蜜を集めようとするクロヤマアリ=11日、飯島町ソバの花の上で蜜を集めようとするクロヤマアリ=11日、飯島町 ソバの茎の根元に粘着性スプレーをかけ、アリが登れないようにする林さん=11日、飯島町ソバの茎の根元に粘着性スプレーをかけ、アリが登れないようにする林さん=11日、飯島町
 アリが多くいる畑ではソバがよく実る?―。ソバの花の送粉(花粉の媒介)にアリが関係している可能性があると分かり、東京大大学院農学生命科学研究科の生物多様性科学研究室が、裏付けるための研究を上伊那郡飯島町の畑で行っている。ソバの花の雄しべと雌しべの長さが、アリの体の大きさと合っていることが理由とみられる。証明されればアリの生息環境を整えることでソバの収穫増につなげられる、と期待されている。

 同科の宮下直(ただし)教授(生態学)によるとソバは主にハチやアブ、チョウが送粉するとされてきた。花が大きく雄しべや雌しべが長いリンゴやカボチャなどの花だと、体長数ミリのアリが蜜がある花の中心部まで潜り込んでも、雄しべや雌しべに触れず、送粉の役割を果たさない。

 一方、ソバの花は小ぶりで雄しべ、雌しべともアリの体長より短いくらい。アリが蜜を採ろうと中央部に近づき動き回ることで、体に花粉が付着し、送粉している可能性があるという。

 同研究室は昆虫の種類の多さとソバの実り具合との関係を探ろうと2018年度、町内15カ所ほどの畑で調査。その結果、体長5ミリ前後のクロヤマアリや同10ミリ前後のクロオオアリが多いソバ畑ほど、結実率が高かった。19年度は粘着性スプレーを根元に吹き掛けてアリが花まで登れないようにした株と、手を加えない株を4カ所のソバ畑に用意し、結実率の差を調べる。

 宮下教授と東大農学部4年の林将太さん(23)は11日、町内の畑で受粉前のつぼみを探してスプレーを吹き付けた。夏ソバだけでなく、秋ソバの時季にも調べ、年度内に結果をまとめる。

 宮下教授は「アリが、日本人にとって重要な食であるソバの送粉をするとはあまり考えられていない。確かめられたら貴重な発見」。アリの巣はあぜや土手に多いと推測しており、草を刈る長さを調整するなどしてアリがすみやすい環境にすれば、ソバの実りが良くなる―との仮説を立てている。

 農学生命科学研究科は昨年8月、飯島町、上伊那農協(伊那市)と研究・教育推進や農林業振興の協定を締結。町が学生らの活動を支えている。ソバの結実率は1〜3割とされており、町は「結実率が高くなれば面積あたりの収穫量が増える」と研究結果を心待ちにしている。

(6月13日)

長野県のニュース(6月13日)