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党首討論 予算委の代替にならない

 今国会で初めての党首討論が19日に開催されることになった。

 昨年6月以来、約1年ぶりになる。一方で野党が開催を求めていた予算委員会は与党が拒み、見通しが立っていない。

 論議するべきことは多い。

 金融庁金融審議会の報告書に端を発した年金問題や、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」を巡る防衛省の調査ミスなど幅広い。経済や外交の問題も対象になるはずだ。

 計45分間しかない党首討論では議論は深まらない。衆参両院で安倍晋三首相が出席して予算委の集中審議を開き、時間をかけて論戦するのが筋である。

 予算委は衆参両院とも3月から開催されていない。参院選を前に、政権イメージを悪化させたくないという与党の思惑が透ける。異例の対応といえる。

 短時間で終わる党首討論なら逆質問も可能で、野党の見せ場を減らせるという計算が働いたのだろう。首相が討論から逃げたという批判もかわせる。

 党首討論は英国議会の「クエスチョンタイム」を参考に2000年に導入されている。国会審議の活性化が目的だったのに、形骸化が著しい。

 昨年は首相と各党党首が一方通行のやりとりに終始した。二大政党の下ならまだしも、野党勢力が分散した現状では各党に割り当てられる時間が少なく、論戦の深まりは望めない。

 昨年5月の党首討論では首相が長々と答弁して議論にならず、立憲民主党の枝野幸男代表が「歴史的意味を終えた」と批判した。

 討論時間を伸ばし、14年の与野党の合意に沿って、月1回開くなどの改善が必要である。現状のままの時間で一度開くだけでは、予算委の代わりにならない。

 10日には参院決算委員会で、安倍首相や全閣僚が出席して、広範な課題をテーマに約2カ月ぶりに論戦が行われた。金融審議会の報告書を巡って年金制度の将来見通しなどが議論になったものの、首相は本質的な議論を避けた。分からないことはまだ多い。

 年金財政の健全性を示す「財政検証」も公表されていない。前回は14年6月3日に示されているのに、政府は公表時期も示していない。参院選への影響を避けるため、先送りするのだとしたら国民をないがしろにする行為である。

 社会保障制度は国民生活の根幹に関わる。予算委で議論を深め、国民が参院選で各党公約を見極める判断材料にするべきである。

(6月17日)

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