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米ニューヨーク州のイサカはコーネル大学がある学術都市だ。人口は約10万。その一帯がいま、CSA(地域支援型農業)と呼ぶ「小さな農業」の先進地として知られるようになっている。生産と消費の距離が近い農業の一つの形である

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気に入った農場に会費を支払い農産物を受け取る仕組みで、スーパーより割安。公園などに設ける受け渡し会場は交流の場にもなる。イサカでの普及率は12%。8世帯に1世帯が利用する。10カ月滞在した河北新報記者の門田一徳さんの本で知った

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米国の農業と聞いてまず思い浮かべるのは、トウモロコシや大豆、肉牛の広大な農場ではないだろうか。生産性の高さで日本の農業が追いつくはずもない。貿易交渉では脅威の対象となる。だが米国にも、規模拡大レースとは一線を画す農家はいる。近年は二極化が進んでいるという

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CSAはこの30年で徐々に定着した。親しい農家がいる安心感や有機農産物が選べる点が消費者を引きつける。複数農場が協力して品ぞろえを増やしたり、自前の小麦粉でパンを作ったりと多様だ。効率だけでない小規模農場の工夫が詰まっている

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似たような動きは日本にもある。「産消提携」などと呼ばれる。作り手の熱意を伝え、契約した消費者に野菜の箱詰セットなどを定期的に送る農場は点在している。イサカのように広げられないか。地産地消を「おしゃれでスマート」とみる地域文化は印象深い。ヒントになりそうな発想だ。

(6月17日)

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