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斜面

梅雨晴れの鮮やかな緑の中に赤茶の染みが点々と見える。気になって長野市・善光寺の裏山に登ってみるとアカマツの大木が立ち枯れていた。以前、薬剤で駆除した林なのに松くい虫(マツノザイセンチュウ)が盛り返してきたようだ

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昨夏の高温が内部で増殖するセンチュウと運び屋のマツノマダラカミキリを活発にしたらしい。温暖化も影響してか、高地に広がりつつある。全国の被害量は1979年をピークに減ってきたが、この2年後に初めて被害が出た県内は今やトップという

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カミキリは枯れ始めて樹脂を出さなくなった木に産卵する。持ちつ持たれつの関係だ。松枯れ対策は意外に古い。国内初の被害は日露戦争のころの長崎県。輸入した北米の松材が原因とされる。戦中戦後の混乱期は被害が急増、GHQが米国の森林昆虫学者を呼び対策を勧告した

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ようやく犯人が突き止められたのは71年のこと。それからは梅雨から羽化するカミキリの成虫に薬剤を散布する防除や、被害木を切り倒して全滅させる駆除のほか、センチュウに対して抵抗力のある品種を開発したり天敵を探したり…。試行錯誤が続く

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荒れたやせ地や岩場で最初に育つ松は古来、たくましさの象徴とされる。それが一面、赤茶に変わるのを見るのはしのびない。先日、軽井沢町に集まった20カ国・地域のエネルギー・環境関係閣僚なら、どう感じるだろう。近くの里山で起きている温暖化の“負の一面”も見てほしかった。

(6月18日)

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