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地盤の液状化 足元に潜むリスクに目を

 県北部で震度6弱を記録した2014年の地震の際、北安曇郡白馬村で液状化が起きていたことが分かった。

 家屋が倒壊する被害が集中した同村の堀之内地区を信州大の研究グループが調査した。地盤の液状化が被害拡大原因になったとみられる。

 地震による液状化は、東日本大震災時に千葉県の海岸沿いの埋め立て地で起きたのが代表事例だろう。人工の造成地でもない内陸の中山間地域で起きるとは、意外に感じた人も多いのではないか。

 調査結果は、地質や地形、地下水位といった条件がそろえば中山間地域でも起こりうることを示している。足元に潜むリスクに、改めて目を向けねばならない。

 かみ合っていた地盤の砂粒が地震の揺れで水が入り込むことによって外れ、流動化する現象だ。緩い砂質だったり地下水位が浅かったりすると起こりやすい。1964年の新潟地震で知れ渡った。

 内陸でも、谷や沼を埋めた場所は液状化の危険性が高い。昨年9月の北海道の地震では、海から離れた札幌市清田区で起きた。周囲の高い土地から切り出した土砂で谷を埋めて造った住宅地で、盛り土の部分が液状化した。

 白馬村の堀之内地区は、砂などの層が地下約5メートルまでの間に堆積しており、地下水位も高いという特徴があった。14年の地震では、液状化で浅い地盤が水平方向に移動したとみられる。コンクリート擁壁が地盤ごと1・4メートルずれ動いたことも確認されている。

 液状化の危険性が高い地域を示すハザードマップ(危険予測地図)を作成してあるのは、昨年9月時点で全国の市区町村の約2割だった。洪水と土砂災害についてはどちらも約8割が公開済みで、液状化は住民への周知が遅れている現状が浮かぶ。県内も作成済みは9市町村にとどまった。

 土砂災害などには作成義務があるが、液状化は地震防災対策特別措置法で「努力義務」にとどまることや、調査の負担が大きいことが背景にあるとみられる。

 諏訪市は、15年のマップ改定時に液状化を加えた。かつて諏訪湖底だった場所は地盤が軟弱で、地下水位も高い。液状化は市内のどこでも起きうるとして、マップを確認するよう呼び掛けている。

 地盤改良には多額の費用がかかるケースが多く、対策は容易には進まないだろう。だが放置し続けるわけにはいかない。住民が危険性に気付くことが出発点となる。自治体によるマップ作りや注意喚起が欠かせない。

(6月19日)

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