長野県のニュース

火の見やぐら、お役御免 無線やメール普及で撤去打診 中野市

中野陣屋・県庁記念館前に立つ高さ18メートルの鉄骨警鐘楼=中野市中央中野陣屋・県庁記念館前に立つ高さ18メートルの鉄骨警鐘楼=中野市中央
 中野から昔ながらの火の見やぐらがなくなる―。中野市は、市内にある鉄骨製の火の見やぐら「鉄骨警鐘楼」の撤去を区に打診している。やぐらは火事の発生場所を確認したり、鐘を鳴らして消防団を招集したりするために用いられていたが、近年、その役目は防災行政無線やメールが取って代わっている。維持費削減のためにも、本年度から順次、姿を消すことになる。

 市消防課によると、現在、市内に鉄骨製やぐらは約60基。ほとんどが1955(昭和30)年前後に設置され、区が所有・管理している。高さは10〜22メートル。かつては消防団員らがはしごで頂上に登って火事を知らせていた。

 ただ、近年は行政無線やメールの登場で、現在ではめったに使われることがなくなった。鐘のたたき方を区別することで「招集」などいくつかの合図を消防団員に送っていたが、市消防課は「現役の団員で合図を知っている人はもう少ないのではないか」とみている。

 やぐらの老朽化を防ぐため、これまでに市が費用や補助金を出して、1基当たり1〜3回のさび止めの塗装を施してきた。塗装は1回50万〜90万円の費用がかかり、市や区の負担となっていた。

 こうした中、やぐらはすでに役割を終えており、塗装の半分〜3分の1の費用で撤去できることから、市は昨年度、市消防団の全11分団(今年4月からは再編で全7分団)の正副分団長らが集まる会議で撤去の方針を決めた。本年度は所有者である区の意向を確認している。

 市消防課によると、現時点で各区からの異論はなく、今後は、塗装の更新時期が迫ったやぐらから撤去する。本年度内には、数基が姿を消すという。同課の担当者は「団員の転落など万が一の事故も想定される。撤去させてほしい」としている。

 同市間山のやぐら近くに住む農業男性(71)は「さみしい気もするが、時代遅れってことだから仕方ないね」と話している。

(6月19日)

長野県のニュース(6月19日)