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骨太方針 参院選への思惑が露骨だ

 参院選を控え、不興を買いそうな議論は避けた形だ。政府が決めた経済財政運営の指針「骨太方針」は、社会保障制度の抜本改革に踏み込んでいない。

 年金などの制度を今後どうしていくのか。国民の関心が高い問題を先送りした。「骨太」には程遠い内容である。

 年金と介護については必要な法改正も視野に、2019年末までに結論を得るとした。医療など他の分野についても改革を順次実行に移せるよう、20年度の骨太方針で総合的な政策を取りまとめるとしている。

 高齢化に伴う社会保険料などの負担増や給付減の議論は、参院選後に持ち越すことになる。

 年金を巡って政府は、95歳まで生きるなら2千万円の蓄えが必要とした金融審議会の報告書の受け取りを拒んだ。年金財政の健全性をチェックする5年に1度の「財政検証」の公表時期も示していない。都合の悪い事実を伏せようという姿勢は一貫している。

 「100年安心」と制度の持続可能性をアピールしても、将来の給付水準など具体像が分からないのでは判断のしようがない。

 骨太方針は一方で、在職老齢年金制度について、将来的な廃止も展望しつつ在り方を検討するとした。働いて一定の収入がある人の年金を減額する制度だ。

 廃止するには1兆円ほどの財源が必要になる。年金財政に関わる問題だ。どう賄うのか、説明する責任がある。

 今回、政府が柱に据えた一つは30代半ば〜40代半ばの「就職氷河期世代」への集中支援だ。正社員を希望しながら非正規雇用で働く人など約100万人を対象に、3年間で正規雇用者を30万人増やすとの目標を掲げた。

 これも参院選を意識したものではないか。安倍晋三首相が4月に突然、打ち出した。

 バブル崩壊後の厳しい時期に学校を出た世代である。困難な状況にある人たちを支援することに異論はない。問題は進め方だ。急ごしらえの政策に懸念が残る。

 この世代は過去5年間に年5万人ずつ正規雇用が増えてきた。目標はこれを倍増させる。達成が優先され、きめ細かな対応が難しくなるようでは困る。正規の職を得たら終わりではなく、その後の十分な目配りも求められる。

 引きこもりの人には一層の配慮が必要だ。政府も状況に合わせた丁寧な支援を掲げる。実績作りのために社会復帰を無理強いするようなことがあってはならない。

(6月22日)

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