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ロサンゼルス生まれのジャニー喜多川さんは戦火を2度経験している。太平洋戦争で和歌山空襲を生き延びた。米国に戻ると今度は朝鮮戦争で徴兵され戦地で戦災孤児に英語を教えた。除隊後は東京に移住し、少年野球団を発足させる

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この中からあおい輝彦さんら4人を伴って米ミュージカル映画「ウエスト・サイド物語」を見た。かねてショービジネスへの夢を膨らませていたジャニーさんである。すっかりミュージカルに魅せられた4人を「ジャニーズ」としてデビューさせている

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1964年、日本が高度成長の波に乗ったころだ。歌って踊る少年のグループはたちまちブームを巻き起こした。以降50年以上にわたって、人気歌手やアイドルグループを次々と世に送り出した。「若さ」を求めてきた戦後日本とジャニーさんの生き方、考え方はぴったり重なる

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社会学者の太田省一さんが近著「ジャニーズの正体 エンターテインメントの戦後史」に書いている。ショービジネスは、子どもから大人への途上にいつもいることが成長を持続させる。そこに「老い」の居場所はないとの価値観に貫かれていたという

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不安に覆われ「成熟」を模索した平成時代。年を重ね社会的な役割も果たすようになったSMAPとのずれが解散の背景にあるとの太田さんの見方は興味深い。一つの時代が終わったと感傷を記しても、87年の生涯を終えるまで未来を見続けたジャニーさんには似つかわしくないだろうか。

(7月11日)

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