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デジタル課税 国際協議を着実に前へ

 足並みがそろわない。世界規模で事業展開する大手IT企業を対象にしたデジタル課税である。

 トランプ米政権が、導入を決めたフランスに圧力をかけている。米国の企業が多く、米通商代表部は「不当な狙い撃ち」と批判する。

 相手国への制裁を可能にする通商法301条に基づいて調査を始めたと発表した。制裁関税などの措置に発展する可能性がある。

 頭文字を取って「GAFA」と呼ばれるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・コムに代表されるIT大手は、ネット取引が拡大した世界経済で大きな影響力を持つようになった。

 一方、サービスを利用した消費者側の国が、国内で得られた収益などに適切に課税できていない問題があり、欧州の国々を中心に不公平感が広がっていた。

 問題を受け、20カ国・地域(G20)や経済協力開発機構(OECD)が国際的なデジタル課税の在り方を検討してきた経緯がある。米仏の対立が深まれば、今後の検討にも影響が及ぶだろう。

 多国間で話し合うしか解決の道はない問題だ。関係各国は、国際協議を着実に進める努力を重ねなければならない。

 現行税制はどの国も、本社や工場など物理的な拠点の有無で課税を判断している。そうすると、検索サイトの広告といったIT大手の事業は、巨額の収益を生み出しても拠点のない消費国には税収をもたらさない課題が生じる。

 また、世界規模の大企業は、法人税率の低い国への拠点配置などで節税を図ることもできる。

 OECDによると、GAFAを含む多国籍企業の過度な節税で失われた税収は、世界で年間2400億ドル(約26兆円)に上る。

 解決は容易でない。フランスなど消費国側に税収を割り振ると、米国のようにIT大手を擁する国の税収は減る。法人税の最低税率を国際的に定める案もあるが、IT企業誘致を狙い税収を低く抑えてきた国には、抵抗感が強い。

 そんな中、単独でのデジタル課税を決めたのがフランスだった。オンライン広告などの売り上げに3%を課す。英国も来年春からの独自課税導入を予定する。

 独自課税にも、二重課税が生じる可能性があるなど問題がある。

 6月に開いたG20大阪サミットでは、デジタル課税を巡る国際ルールについて、来年中の最終合意を目指す作業計画を各国が承認した。議長国を務めた日本は、課題解決への先頭に立つべきだ。

(7月13日)

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