長野県のニュース

原発政策 積もる難題と向き合え

 原発に関する論議が参院選で低調だ。

 安全性に対する不安は根強い。自民党は手詰まりの難題に正面から向き合わず、エネルギーの将来について踏み込んだ論議を避けている。

 立憲民主党や共産党は、原発再稼働に反対して「原発ゼロ」を掲げる。代替電源をどう確保していくか。再生可能エネルギー拡大への展望は十分とはいえない。

 政府はエネルギー基本計画で将来も原発を活用する方針を維持している。だが再稼働は想定通りに進んでいない。背景には、東京電力福島第1原発事故を受け厳格化された安全対策でコストが膨れ上がり、原発が事業として成立しにくくなっている現実がある。

 使用済み核燃料を再処理して活用する核燃料サイクルは、既に破綻している。官民一体で推し進めた原発輸出も頓挫した。高レベル放射性廃棄物の最終処分地を確保する見通しも立っていない。

 このままでは、課題がただ先送りされる。本来なら一つ一つ解きほぐして将来の道筋を示し、有権者に問うべきだ。与野党にはその責任がある。

 昨年7月改定のエネルギー基本計画は、原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、2030年度の原発の発電比率を20〜22%とする目標を維持した。

 達成には約30基の稼働が必要となる。現在ある原発の老朽化を考えると、再稼働に加えて新増設も欠かせない計算だ。それなのに計画は新増設に触れなかった。

 安倍首相も、今回の参院選を前にした党首討論会で「新増設は想定していない」と述べた。

 そもそも再稼働が厳しい状況で新増設は論外だろう。新規制基準に合格し再稼働した原発は、5原発の9基にとどまっている。

 合格しても、東電柏崎刈羽や日本原電東海第2は、地元自治体の同意が得られなければ再稼働の見通しが立たない。再稼働後も、九州電力川内のように、テロ対策施設の完成が遅れて停止命令が出る公算が大きい原発がある。

 震災後の状況を受け止めれば、現実離れした計画を改め、原発から手を引く具体的な道筋や再生エネルギーを広げる方策を論議するのが、当然の流れだ。

 福島第1の廃炉作業もトラブル続きで、ゴールは見えない。首相は「復興」を強調するが、住民約4万3千人が帰還できていない現実を忘れてはならない。

(7月18日)

最近の社説