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「場面緘黙」の全国調査 長野大准教授ら 上田に相談室 5年間追跡

場面緘黙の実態調査を始めた高木准教授(右)。「信州かんもく相談室」の部屋で相談にも応じている場面緘黙の実態調査を始めた高木准教授(右)。「信州かんもく相談室」の部屋で相談にも応じている
 上田市の長野大社会福祉学部の高木潤野准教授(39)=教育学=らは、学校や保育園など特定の状況で不安や恐怖を感じて言葉が話せなくなる「場面緘黙(かんもく)」について研究チームを作り、全国的な実態調査を始めた。国内での実態調査は数えるほどしかなく、対象の地域も限られるため、専門家は「全国規模の調査は初めて」と研究に期待する。

 研究チームは高木准教授が代表を務め、関西国際大(兵庫県)や北海道の当事者支援グループなどが参加。科学研究費助成事業(科研費)として、2023年度まで計1200万円を受ける。

 高木准教授は、5月に「信州かんもく相談室」を上田市内に設け、当事者や家族の相談に応じている。研究では相談室に来る子どもを中心に5年間の追跡調査を実施する予定。調査規模は200人を目指す。有効な支援方法を確立するため、「不安」「恐怖」「困難さ」などを数値化する方法も検討する。

 高木准教授によると、場面緘黙は発達障害の一種で、500人に1人いるとされる。2〜5歳での発症が多い。もともと不安を感じやすい子どもが保育園や学校に入った際に顕在化しやすいという。適切なカウンセリングを受ければ改善するが、大人になっても話せない人もいる。

 「日本緘黙研究会」副会長で上越教育大大学院の加藤哲文教授(64)=学校臨床心理学=によると、かつて群馬県内の病院が患者を対象にした調査や、2015年に神戸市で行われた調査があるが、広く実態は分かっていない。相談機関も少なく、正しい理解を広げるためには公的な支援が急務―と指摘する。

 高木准教授によると、担任教員や学校の理解や支援が欠かせないが、教育現場でも場面緘黙の認知度は低い。高木准教授は「場面緘黙は外からは見えにくい問題。子どもたちを守るための科学的根拠を得たい」と話している。

 問い合わせは、メールで上田市下之郷の長野大学・高木研究室(takagi@nagano.ac.jp)へ。

(7月30日)

長野県のニュース(7月30日)