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外国語案内 県内8市のみ 就学援助制度 19市本紙調査

 所得が一定基準を下回る世帯の小中学生の学用品費や給食費などを補助する「就学援助制度」について、日本語版に加えて外国語版の案内文書を配っているのは、県内19市のうち8市にとどまることが31日、信濃毎日新聞の取材で分かった。制度は対象世帯からの申請に基づき補助する仕組み。外国人労働者の受け入れ拡大などで今後、外国籍の子どもが増えると見込まれる中、制度を知らない家庭が負担を抱える不公平が生じかねない状況だ。

 就学援助制度について各市教委は毎年度当初、小中学校を通じて全児童・生徒に日本語の案内文書を配布している。文部科学省の調査によると、県内の外国籍児童・生徒は昨年5月1日時点で1445人。外国語版がある場合は同様に学校を通じ、対象の児童・生徒に配布している。

 19市に取材したところ、外国語版の案内文書が「ある」と答えたのは上田、飯田など8市。須坂市は英語、ポルトガル語、中国語、タイ語の案内文書をそろえ、担当者は「外国籍の子どもの転入が増えてきたので対応する言語を増やした」と話す。英語、ポルトガル語、中国語の文書を用意する松本市は「最近、フィリピンの子どもも増え、要望があるのでタガログ語の文書も検討している」とする。

 「ない」としたのは岡谷、小諸など11市。長野市は「市全般の制度を説明する5カ国語のパンフレットで、就学援助にも触れている」。中野市は「以前は6カ国語版を用意していたが、制度変更ごとの翻訳が大変でやめた」と説明。多くの市は「子どもの家庭状況は学校が把握しており、個別に学校が対応している」とする。

 ただ、学校事務職員でもある県教組の藤綱みどり執行委員は「教職員には制度を十分に把握していない人や、家庭の経済状況に触れるのをためらう人もいる」と強調。「学校任せにせず、教委としても対応してほしい」と求める。

 県国際化協会(長野市)の相談スタッフで、タイ出身の飯塚タットさん(47)は小学6年生と中学3年生の母親。ただ、就学援助制度は知らなかったといい、「日本語を読める子どもは多いが、文書の内容を理解して親に伝えるのは難しい」と話す。フィリピン出身で同協会の君島マリクリスさん(42)は、相談に当たる中で生活に困っている外国人家庭は多いとし、「日本語の案内しかないと、日本人のための制度と勘違いし、申請をためらってしまうと思う」と指摘している。

(8月1日)

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