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最低賃金 地域格差は看過できない

 2019年度の最低賃金を全国平均で時給901円とする目安がまとまった。昨年度から27円の引き上げだ。現在の方式になってからは最大である。

 非正規労働者など最低賃金の水準で働く人の割合は大幅に増えている。引き上げは働く人の所得拡大に直結する。欧州では時給1200円を超えている国も多い。引き上げはまだ十分ではない。

 政府は今年6月にまとめた経済財政運営の指針「骨太方針」で、全国平均が「より早期に千円になることを目指す」としている。

 方向性を示すだけでは、中小企業を中心に反発が強まるだけだ。企業が賃上げできる環境整備も欠かせない。

 目安は、厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会の小委員会がまとめた。全国平均が900円を超えるのは初めてだ。東京と神奈川は千円を超える。現在821円の長野は848円になる。

 目安を踏まえ、今後、各地の地方審議会が都道府県ごとに協議して、8月に改定額をまとめる。

 問題は地域間の格差である。目安通りに引き上げられたとしても17県は700円台にとどまる。最も高い東京と、最も低い鹿児島の差は226円にもなる。2割以上も低い。

 この差は看過できない。仕事を求めて地方から大都市圏に人材が流出する要因だ。早急に是正する必要がある。

 格差は年々拡大している。02年度の最高地域と最低地域の差は104円だった。本年度も昨年度より2円広がっている。

 政府は全国平均の引き上げを掲げてはいても、地域格差の解消には有効策を打ち出せていない。

 自民党内には最低賃金の全国一律化を目指す動きも出ているものの、実現に向けて大きな動きにはなっていない。

 企業からの反発も根強い。資金の余力が乏しい中小企業にとって賃上げは大きな負担だ。地方の企業はなおさらである。一律化は簡単ではないだろう。

 政府は経営者側に配慮して、具体策を欠いている。これでは問題は解決しない。

 賃上げが進まないのは、企業の生産性が向上していないことにも要因がある。大企業が中小の下請け企業に、無理な価格を押しつけているとの指摘も根強い。十分な対価が得られなければ従業員への配分も低くなる。

 政府は生産性向上に向けた支援を強め、取引価格の適正化も監視していくべきだ。

(8月1日)

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