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山小屋荷上げ 1社頼み懸念 ヘリ故障で一部営業開始遅れ

北アルプスの山小屋に荷上げする東邦航空のヘリコプター=4月17日北アルプスの山小屋に荷上げする東邦航空のヘリコプター=4月17日
 北アルプスや八ケ岳など県内の山小屋の多くで物資輸送を請け負う東邦航空(東京)のヘリ2機が6月下旬に相次いで故障し、一部の山小屋で営業開始がずれ込むなどの影響が出ている。2017、18年に相次いだ同社運航のヘリ墜落事故の影響もあり、山小屋への輸送に充てられる社有機はこの2機のみ。一方で他社の運航縮小などを受け、県内の山小屋の東邦航空への依存度が高まっていた。山小屋関係者からは「1社頼み」の状況を解消するため、国や自治体とも問題を共有したいとの声が上がっている。

 「ようやく営業できるようになりました」。3日、今季の営業を約1カ月遅れで開始した北アルプス白馬三山の一つ、白馬鑓(やり)ケ岳(2903メートル)中腹にある「白馬鑓温泉小屋」。経営する白馬館(北安曇郡白馬村)の従業員は声を弾ませた。

 白馬鑓温泉小屋は冬季は解体し、雪解け後の毎年6月下旬から7月初めに建て直している。だが今年は東邦航空の小型ヘリ2機が故障し、修理に約2週間かかった。小型ヘリはもう1機あるが、他の業務に使っており、山小屋への物資輸送は一時中断した。

 例年の営業開始は7月10日ころ。登山客から「いつ小屋が始まるのか」と問い合わせが相次いだという。

 北ア鹿島槍ケ岳(2889メートル)山頂近くにあるキレット小屋も、例年通り7月初めに営業を始めたものの、ヘリで食材が運べず、10日間ほど素泊まりのみの営業になった。

 複数の山小屋関係者によると、県内で山小屋への物資輸送を担っているヘリ会社は東邦航空以外にも3社あったが、リスクの少ない公共工事の受注増などを背景に、15年ごろまでに山岳輸送の縮小や値上げが相次いだ。東邦航空によると、同社は現在、長野、富山、山梨県などの山小屋100軒余の荷上げを担当。今回の物資輸送の一時中断で北ア、八ケ岳、御嶽山、南アルプスなどの山小屋に影響が出たという。

 同社では17年11月、小型ヘリの3倍近い運搬能力があり山小屋への物資輸送にも使っていた大型ヘリが群馬県上野村に墜落する事故が発生した。さらに18年8月には運航を受託していた群馬県防災ヘリが墜落。担当者は「大型ヘリの再導入は見通せず、現在の態勢で山岳輸送をやりくりするしかない」と話す。

 長野、富山県境付近の北ア最深部にある三俣山荘の主人、伊藤圭さん(42)=安曇野市=は「1社に頼らざるを得ない中、再び運送の中断が起きないか心配。山小屋は登山道整備なども担い、公共性が高い。国や自治体も問題を共有し、一緒に考えてほしい」としている。

(8月4日)

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