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リクナビ問題 個人情報利用にルールを

 個人情報保護の重要性について認識が欠けていた。

 就職情報サイト「リクナビ」が個人データを基に学生の内定辞退確率を予測し、企業に販売していた問題である。

 情報提供することを本人に十分説明していなかった。学生の将来を左右しかねないデータだ。運営するリクルートキャリアがサービスを廃止したのは当然である。

 就職活動をしている学生について、企業や業界のサイトの閲覧履歴、志望動向など大量のデータを人工知能(AI)で分析し、一人一人の「内定を辞退する確率」を推計していた。サービスは2018年3月に開始し、38社に試験的に提供したとしている。

 問題発覚後、サービスの目的について「企業が採用活動中や内定後の学生に適切なフォローを行うため」と説明した。合否の判定には活用しないことを利用企業との同意書で確認していたという。

 知らないうちに個人情報を販売されていた学生にしてみれば、納得できる説明ではない。リクナビには「信頼して利用していたのに裏切られた」など不安や憤りの声が寄せられた。

 個人情報保護法は、事業で取得した個人情報を第三者に提供する場合、本人の事前同意を得ることが必要としている。

 リクナビは約8千人から適切な同意を得ていなかったことが判明したとして廃止を決めた。一部の画面で個人情報の取り扱いに関する表記がなく、同意を確認する設計になっていなかったという。

 他の学生については「表現が伝わりにくかったが同意は得た」との立場だ。「採用活動補助のための企業への情報提供」といった書き方では具体的な内容が分からない。形式的な同意にすぎず、リクナビの主張は説得力を欠く。

 サービスの廃止で今回の問題を終わらせることはできない。学生たちの個人情報がどう取り扱われたのか、経緯を検証して問題点を明らかにしなければ、また同様のことが起こりかねない。

 リクナビの登録学生数は約80万人に上る。どれだけの学生の情報を提供したのか、本当に合否判定に利用されなかったのか。さらに詳しい説明が必要だ。

 個人情報保護のルール見直しも欠かせない。閲覧履歴などから個人の特性や動向を分析したデータの利用は許されるのか。認めるとしたら、どんな条件を付けるべきか。時代の変化を踏まえたルールづくりに向け、早急に議論を進めなくてはならない。

(8月10日)

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