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森友捜査終結 真相解明の責任国会に

 財務省幹部らの誰も刑事責任を問われることがないまま、捜査は終結した。釈然としない思いにとらわれる。

 学校法人「森友学園」に国有地が大幅に値引きして売却された問題である。大阪地検特捜部が佐川宣寿・元理財局長ら10人をあらためて不起訴処分とした。昨年いったん不起訴になり、検察審査会が「不当」と議決したため再捜査していた。

 起訴するに足りる証拠を収集できなかったと述べている。結果として刑事責任を問うのは難しかったとしても、どんな捜査をしてそう判断するに至ったのか。具体的な言及はない。

 これでは、一連の不正や疑惑がどこまで解明されたのか確かめようがない。裁判を通して真相を知る機会も失われた。検察は、捜査で何が分かり、なぜ不起訴にしたのかを丁寧に説明すべきだ。

 評価額9億5千万円余の土地が8億円以上も値引きして売却された。地中のごみの撤去費とされたが、それほど大量にごみがあったのか、判然としない。売却に至る経緯も異例ずくめだ。

 学園が開校を予定した小学校は、安倍晋三首相の妻の昭恵氏が一時、名誉校長に就いていた。土地取引の背後に政権への忖度(そんたく)が働き、行政がゆがめられなかったか。核心はそこにある。

 売却に関わる財務省の決裁文書は改ざんされ、昭恵氏の名前や、特別扱いをうかがわせる文言が消された。交渉記録も廃棄されている。それをいつ誰が指示したのかもはっきりしない。

 公文書は、国の意思決定が適切、公正になされたかを検証するのに欠かせない手がかりだ。改ざんや不当な廃棄は、民主主義の土台を壊すに等しい。うやむやに済ますわけにはいかない。

 地検は、決裁文書の改ざんについて、根幹部分が変更されたわけではないと判断したという。ごみの撤去が名目の値引きも、背任の立証は困難とみたようだ。

 捜査が終わったからといって、森友問題に片がついたわけではない。この国の政治、行政の根本に関わる問題として国会は徹底して真相を究明する責任がある。

 佐川氏は昨年、国会の証人喚問で、刑事訴追の恐れを理由に肝心な証言をことごとく拒否した。不起訴が確定した今、あらためて国会に呼ぶべきだ。昭恵氏の喚問も、しない理由がない。

 行政を監視するのは国会の役目だ。国権の最高機関として強い権限を持つ。与党もその責務を果たさなくてはならない。

(8月12日)

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