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温暖化報告書 食料・水不足の重い警告

 地球温暖化がもたらす深刻な影響を改めて突き付けられる。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の特別報告書は食料や水を巡り、リスクの高まりを警告した。各国による温室効果ガス削減の取り組み強化が急務だ。

 IPCCは温暖化に関する最新の研究成果を各国の政策決定者に示すため国連環境計画と世界気象機関が設立した組織だ。数年おきに温暖化の予測などをまとめた評価報告書を公表するほか、テーマごとの特別報告書も作る。

 先ごろ公表した報告書は、温暖化が土地に与える影響をまとめている。今世紀末に世界の人口が90億人まで増えると想定すると、干ばつなどの増加で穀物価格が2050年に最大23%上がる恐れがある。食料価格も高騰し、貧しい人が最も深刻な影響を受ける。

 産業革命前と比べ、今世紀末に気温が1・5度上昇する場合、水不足や干ばつにさらされる人口は50年までに1億7800万人、2度上がるなら2億2千万人に上るとも指摘している。

 温暖化対策のパリ協定は20年に本格始動する。気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑える目標を掲げるものの、各国の今の取り組みでは3度以上高くなるとも予測される。報告書の将来像より深刻な事態を招きかねない。

 対策を強める時なのに、各国の動きは鈍い。排出量世界2位の米国は協定離脱を表明している。6月に大阪市で開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の首脳宣言は、米国と他の国・地域とで一致した姿勢を示せなかった。

 世界気象機関は先月、6月以降にロシア・シベリアなどの北極圏で記録的高温となり、山火事が多発するなど世界各地で異常気象が相次いでいると発表した。「温暖化による高温や降水パターンの変化が山火事の増加や夏の長期化をもたらしている」と分析する。

 今年6、7月の世界の平均気温は、それぞれの月の観測史上最高を記録している。

 来月には国連のグテレス事務総長が気候行動サミットを開く。今月初めの記者会見では、この夏の暑さを指摘し、サミットに参加する各国指導者に「美しい演説ではなく具体的な計画」を持ってくるよう呼び掛けた。

 排出削減目標の引き上げなど各国の対応が問われる。日本は排出が特に多い石炭火力発電の利用を続ける姿勢に国内外から厳しい目が注がれている。批判を受け止めて廃絶にかじを切るべきだ。

(8月19日)

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