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右目だけで見る光景は黄色っぽく、白みがかってコントラストがはっきりしない。加齢による衰えでは仕方ないと諦めながら、もう片方の目に映る色との違いに驚いている。高齢社会の“色の世界”は、人によってずいぶん違うようだ

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近年、誰にも分かる色表示に変える動きが広がってきた。とくに配慮が要るのは、生まれつき見え方が違う色覚障害の人だ。国内には男性の5%、女性の0・2%に当たる約320万人いるという。幾つかタイプがあり、赤と緑の区別が苦手な人が多い

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自身も障害のある東京慈恵会医大の岡部正隆教授らがNPO法人をつくり、色に気を配るカラーユニバーサルデザインの普及に取り組んできた。岡部さんは障害をあえて「色弱」と言う。視覚が劣っているわけではなく、敏感な色が違う少数派に属しているだけという理由である

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一般の人にも色弱の見え方が分かるソフトが登場し、不便さが認識されるようになってきた。対策は配色だけでなく、輪郭や文字を加えるなどの工夫もある。大事なのは子どもへの対応だ。県内でも色弱の子が見分けやすいチョークを使う学校が増えた

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学校の健康診断では、16年前から検査が必須でなくなった。差別を助長しかねないとの理由だが、色弱と気付かないこともある。周囲が注意を払う必要があろう。高齢化とともに後天的に色覚が変わる人も多くなった。多様な少数派への配慮はおのずと暮らしやすい社会につながっていく。

(8月24日)

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