長野県のニュース

がん細胞抑制物質、ブドウの軸から抽出 信大農学部とサンクゼール

 信州大農学部(上伊那郡南箕輪村)の藤井博教授(分子生物学)と食品製造販売サンクゼール(上水内郡飯綱町)の河原誠一取締役らの研究グループが23日、がん細胞の増殖を抑制する効果がある物質を、ブドウの房の軸から抽出することに成功したと発表した。捨てられることが多い軸に着目し、有効利用できることを実証した。

 物質はブドウやリンゴなどに含まれる「エピカテキンオリゴマー」。渋味成分でポリフェノール化合物の一種「エピカテキン」が複数連結した状態。

 藤井教授や同大バイオメディカル研究所の真壁秀文教授(生物有機化学)らのグループは2017年、エピカテキンオリゴマーががん細胞の増殖を抑制する効果があると確認したと発表。この時は市販の化合物から合成したが、今回は、ブドウの軸を煮たお湯を使った。分子レベルで分離する独自の方法で取り出すことに成功した。

 藤井教授らは前回の研究でエピカテキンを四つ以上つなげたエピカテキンオリゴマーが、がん細胞が増殖し、他の細胞へ入り込むことを抑制する効果を確認。今回は、エピカテキンが八つつながった状態で高い効果があることが分かった。グループの論文は19日、国際学術誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。

 河原取締役は以前、サンクゼールでワイン醸造を担当。大量の軸が捨てられるのを見て「もったいないと思ったことが実験の始まりだった」と振り返る。真壁教授は「捨てられている物を有効利用できることを実証できたことに意義がある」。藤井教授は「メカニズムを解明し、社会で利用できる方法を検討したい」としている。

(8月24日)

長野県のニュース(8月24日)