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雨と風で低体温症か 北ア20日の高齢登山者計5人遭難

 北アルプスで20日、高齢登山者計5人が体調不良や疲労で動けなくなる3件の遭難があり、いずれも低体温症が原因だった可能性が高いことが24日、県警への取材で分かった。標高2500メートル以上の稜線(りょうせん)で起きたことが共通し、雨と風が強かったとみられる。山は一足早く秋の装いを見せ始めているが、高気圧に覆われれば日中は夏を思わせる暑さも残る。専門家は、悪天を想定して下着や雨具などを準備し、早めの調節で冷えやぬれを防ぎ、小まめに栄養を補給するなどの対策を呼び掛けている。

 県警山岳安全対策課によると、20日に遭難があったのは(1)常念岳と蝶ケ岳を結ぶ登山道(標高約2600メートル)(2)蓮華岳の山頂付近(同約2700メートル)(3)奥穂高岳から前穂高岳を結ぶ登山道(同約2900メートル)=地図。それぞれ東京都の男性(69)、津市の65〜74歳の男女3人、静岡市の男性(68)の計5人が動けなくなった。

 救助要請を受けた山岳遭難防止対策協会の隊員らが駆け付け、最寄りの山小屋まで同行。5人とも衣類がぬれた状態で風を受け、動けなくなっていた。温かい飲み物を飲んだり山小屋に入ったりすると回復。同課は「低体温症の可能性が高い」とみている。

 長野地方気象台によると20日の県内は前線や湿った空気の影響で、平地でも昼前から夕方に激しい雨が降った。奥穂高岳近くの穂高岳山荘(標高2996メートル)によると山荘周辺は朝方から雨が降り、昼すぎに風が強まって気温は10〜15度ぐらいだった。蓮華岳に近い針ノ木小屋(標高2536メートル)の男性スタッフは、朝方から雨が断続的に降り「周囲の木々がしなるほどの強風だった」と振り返る。

 県山岳総合センター(大町市)の杉田浩康所長は「雨や汗による衣服の『ぬれ』と『風』という体温を急激に奪う条件がそろえば、夏でも低体温症になる」と指摘。汗で下着がぬれたら乾いた衣類に着替え、降雨時は早めに雨具を着るよう勧める。水分補給と、チョコレートなどによるカロリー補給も大切という。

 2009年7月には北海道・大雪山系のトムラウシ山でガイド1人を含む8人が低体温症で凍死。長時間、雨風にさらされたのが一因だった。杉田さんは「体が動くうちに山小屋や樹林帯に逃げ込んでほしい。遠ければ岩陰などで風を避けてほしい」と呼び掛けている。

(8月25日)

長野県のニュース(8月25日)