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秋の味覚探しが豚コレラ拡散に

消毒用の消石灰が配られた入山権利購入の入札会=7日午後8時36分、喬木村の大島公民館消毒用の消石灰が配られた入山権利購入の入札会=7日午後8時36分、喬木村の大島公民館
 県内は秋の味覚、キノコ採りのシーズンを迎える。ただ、今年は、豚コレラの感染が確認された野生イノシシが100頭を超え、中南信の27市町村が厳重な豚コレラ検査が必要な調査対象区域となっており、山に入った人や車がウイルスを広げてしまう可能性がある。自治体は入山者に注意喚起をするなどし、拡散防止の取り組みも進めているが、対策や意識付けは容易ではない。

 下伊那郡喬木村では7日夜、大島地区でキノコ採取ができる共有林への入山の権利を買う入札会があった。村は調査対象区域に入っていないが、入山の権利を買った人に消毒用の消石灰を配布。参加者は「複数の入山口を使うので、複数箇所に分けて使いたい」と袋を持ち帰った。村内にはブランド豚「くりん豚(とん)」を飼育する養豚場もあるが、小椋朝男区長(78)は「危機感を持っている人はまだ少ない」と指摘。「個人で民有林に入る人も多いので、どこまで対策が行き渡るかは難しい面がある」と心配を口にした。同村ではこの日を含め計7地区で入札会があり、消石灰計800キロを配った。

 諏訪市でマツタケ料理を提供する「松茸(まつたけ)山荘」を営む遠藤猶善(なおよし)さん(69)は7月下旬から、拡散防止の対策を始めた。マツタケの生育具合を確認するために入山した後は、靴底と軽トラックのタイヤに消毒液をかける。「少しの心掛けで感染拡大を防げるのなら徹底する」。ただ、入山者や通行車両は多く「自分たちだけで効果はあるのか…」とも思う。

 県や市町村は、林道や登山口に「下山後は靴底などの泥をよく落としてください」と書いた看板を設置。消毒用の消石灰を散布するなどしている。伊那市はホームページやケーブルテレビなどを通じた注意喚起もしている。

 諏訪郡富士見町の富士見パノラマリゾートにあるゴンドラ駅には県が消毒槽を設置。観光客らが靴底を消毒している。訪れた女性(70)は「養豚場の人は不安だと思う。県にはしっかり対策をお願いしたい」と話した。

 ただ、キノコ採りで例年山に入る人の中には、自らがウイルスを拡散する危険性を意識しない人も。県きのこ衛生指導員を務める南信地方の男性(69)は「キノコを採りに行ってイノシシを見ることはほとんどないので、豚コレラ対策は考えたことがなかった」。別の指導員の男性(60)も「養豚場が近くにないので特に対策はしていない。『人間にうつるわけじゃない』という頭もある」と明かした。

 林道の入り口などに消石灰を散布している安曇野市の担当者は「入山するルートが決まっている登山客と違い、キノコ狩りの場合、入山する場所がそれぞれ異なり、対策が難しい」と頭を抱える。県農業政策課の担当者は「豚コレラウイルスはイノシシのふんに混ざり、土などで運ばれる恐れがある」と強調。下山後は靴底のほかに、衣類などに付着した土もよく落とすよう呼び掛けている。

(9月8日)

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