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マグロ漁獲枠 拡大する段階ではない

 太平洋クロマグロの資源管理を話し合う中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の小委員会で、日本が提案した漁獲枠拡大は実現しなかった。

 高級すしネタや刺し身で人気のクロマグロは乱獲などにより激減した。資源量が回復しているとはいえ、なお低水準にとどまる。増枠の見送りはやむを得まい。

 WCPFCは、中西部太平洋を回遊するマグロやカツオの資源管理を目的とする国際機関だ。日本や米国など24カ国と台湾、欧州連合(EU)が加盟する。参加を10カ国・地域に絞って議論する小委が先週、米国で開かれた。

 太平洋クロマグロの親魚の資源量は、1961年の16万8千トンをピークに、2010年には過去最低水準の1万2千トンまで落ち込んだ。15年から漁獲枠を設けて各国の操業を規制している。

 日本の提案は2度目だ。今回は30キロ以上の大型魚で20%、小型魚で10%の増枠を求めていた。

 15%ずつ増やすよう提案した昨年同様、米国が「時期尚早」と反対している。資源減少への影響が大きいとされる小型魚の増枠要求を抑えることで理解を得ようとしたものの、かなわなかった。

 科学者らでつくる国際機関の資源評価によると、16年の資源量は2万1千トンと、ピーク時の8分の1である。WCPFCは24年までに4万3千トンに増やす目標を掲げる。枠を拡大すれば、資源回復のペースが鈍りかねない。

 クロマグロの資源管理では大西洋の先例がある。早くから漁獲規制に取り組んだ結果、資源量が増加に転じ、漁獲枠を段階的に拡大してきた。将来のために今は資源保護を優先すべきだ。

 漁業枠の導入後、日本は国内の資源管理を強化した。大型魚と小型魚でそれぞれ漁法別や都道府県別に枠を割り当て、上限を守らない場合の罰則も設けている。超過しないよう網にかかったマグロの放流や休漁を余儀なくされる小規模漁業者の苦しさも分かる。

 不公平感を減らす配分の仕方を探る必要がある。18年漁期は枠が不足する地域の一方で余らせる地域もあった。融通し合うよう促すことも求められる。

 資源回復に向けては、不正流通を防ぐ国際的な漁獲証明制度の導入も重要だ。水揚げのたびに漁獲量や漁獲した海域などの情報を漁業者から報告させ、認証する仕組みである。WCPFCで引き続き検討することになっている。

 最大の消費国として日本は議論を主導していく責任が重い。

(9月10日)

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