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少々期待しただけに残念な結論である。英スコットランド・ネス湖のネッシー探しだ。国際的な科学者チームが「環境DNA」という最新手法で挑戦したが、未知の生物は見つからなかった。巨大ウナギの可能性があると発表している

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ネス湖を一躍有名にしたのは1934年、英紙に載った首長竜のような影の写真だ。その後、目撃情報が相次ぐ。ところが60年後、「おもちゃの潜水艦を改造した捏造(ねつぞう)だった」と関係者が告白した。冷や水を浴びせられても探索を諦めなかった人もいる

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法律家・発明家・音楽家として活躍した米国のロバート・ラインズさんは考案した探知機や水中カメラを持ち込んだ。旅の途中で見た巨大な影に魅了され、湖畔にロッジを設けた。亡くなるまで確たる証拠は得られなかったが、装置は沈んだタイタニック号の発見に貢献している

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信州大の花里孝幸教授の著書によると、水の澄んだ神秘的な湖は生物生産量が少なく、ネッシーの餌が賄えるとは考えにくいという。今度の調査でも魚類は11種と少なかった。水に漂う環境DNAを調べれば、捕まえなくても何がすんでいるかが分かる

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DNAはふんや粘膜から出ている。近年の分析技術の進歩が可能にした画期的な生態系調査だ。ネス湖ではネッシーと考えられたチョウザメ、ナマズのDNAも見つからず、ウナギが多かったという。それでも伝説が消えることはないだろう。たまたま発見できなかっただけ、と思いたい。

(9月10日)

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