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アフガンの和平 協議中止に目算あるのか

 今度の発言の意図は何だろうか。

 トランプ米大統領がアフガニスタンの反政府武装勢力タリバンとの和平協議を中止したと表明した。

 米兵を含む12人の死者が出た、タリバンによる自爆テロを理由に挙げた。駆け引きより、こうした惨劇を断つための合意取り付けに全力を注いでほしい。

 タリバン政権は2001年の米中枢同時テロ後、首謀者ビンラディン容疑者の引き渡しを拒んだとされ、米軍が率いる有志連合軍の攻撃を受けて崩壊した。

 新政府は、パキスタンとの国境付近に逃げ込んだタリバンの抑え込みに失敗した。権力の乱用と汚職が横行し、経済政策も滞って人心を掌握できずにきた。

 現政府が統制する国内地域は昨年10月時点で54%にとどまる。タリバンは「反政府勢力」と呼ばれるものの、残りのほとんどの地域を支配する。二つの政権が併存しているのに近い。

 アフガンからの駐留米軍撤退を主張するトランプ政権は、昨年10月から直接交渉に入った。

 タリバンは米軍を含む外国軍部隊の即時撤退を要求する。米側は(1)撤退までの猶予期間設置(2)国際テロ組織との関係断絶(3)アフガン政府との停戦と和平への直接対話―を条件に挙げた。

 協議を重ね、和平合意後135日以内に米軍5千人を削減、首都カブール周辺での治安回復などを盛った案で「大筋合意間近」とも報じられていた。一方で、タリバンはテロ攻撃を続けている。トランプ氏の憤りはもっともだが、協議を打ち切ってしまえば、事態をより悪化させかねない。

 トランプ氏は、来年11月の大統領選までに駐留米軍削減を実現したい意向をあらわにしている。18年にもわたって外国軍がとどまる状況は異常だけれど、撤退すれば済む話ではない。

 米国の要請通り、現政府との対話が実現してタリバンが政治体制に組み込まれたとしても、統治が軌道に乗るとは限らない。

 現在のような中央集権的な仕組みがいいのか、部族単位の分権国家を目指すべきなのか。アヘンの原料ケシに偏る農業をはじめ、産業構造を改善し、人々の生活水準を引き上げる必要がある。

 冷戦期に反共のイスラム教徒を強力に支援し、今日の内紛の温床をつくった責任は米国に大きい。長期的な視点で、民生面からアフガン再建の先頭に立たなければならないことを、トランプ政権は自覚すべきだ。

(9月10日)

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