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議員広報に公民館報で反論 小海町が町議に費用請求、その後撤回

小海町の主張(左)が掲載された公民館報小海町の主張(左)が掲載された公民館報
 南佐久郡小海町の町議が議会活動の報告のために各戸配布した広報紙に事実誤認があるとして、町側が公民館報に掲載した「訂正記事」の印刷費用の一部に当たる8960円を町議に請求したことが、9日分かった。その後、議会側が問題視したことなどから町側は請求を撤回した。専門家は費用請求について、議員による行政のチェックを萎縮させると指摘している。

 町議の渡辺均氏は3〜4月に町内で配った広報紙で町の本年度一般会計当初予算を取り上げ、新規事業などに充てるため町が財政調整基金を取り崩すことを「目的外の使用」と主張した。広報紙は定例会や臨時会のたびに作成。新聞の折り込みなどで町内約1600世帯に配っている。

 これに対し町は6月発行の公民館報に「町の財政状況について」と題した記事を掲載。発行者に再三、正しい情報を町民に知らせるよう求めたが改善しないため、異例だが正しい情報を説明する―とし、「財政調整基金は一般家庭でいうと普通預金と同じ」「間違った使い方をしている訳ではありません」と反論した。

 公民館報は町の広報紙を兼ねて町内に全戸配布している。記事はA4判1ページのうち、3分の2ほどの大きさで掲載した。町や渡辺氏によると、その後、町は掲載料8960円を渡辺氏に請求した。

 8月に開いた町議会全員協議会で議会側から問題視する声があり、町は請求を撤回した。議会側は「理事者側と議員個人の見解の相違について広報で反論するべきではない」などとする要望を黒沢弘町長へ提出している。

 渡辺氏は9日の町議会一般質問で町側が印刷費用を請求したことは、住民の権利を制限する行政処分「不利益処分」に当たるとし、正式な手続きを経なかった今回の請求は違法だと主張。関係者の処分を求めた。

 町側は渡辺氏、町長、副町長、総務課長の4者で話し合った際に「訂正しないなら町広報に訂正を掲載し料金を請求する」と渡辺氏に求め、「本人が肯定も否定もしなかったので了解を得たと考えた」と答弁。黒沢町長は取材に対し、違法に当たるかは今後検証するが職員の処分は「するつもりはない」とした。

 広瀬克哉・法政大副学長(地方自治)は「今回の経費を議員に請求する法的根拠は全くない」とし「反論の経費を請求すると言論の自由や議員による行政のチェックを萎縮させる。極めて不適切」としている。

(9月10日)

長野県のニュース(9月10日)