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中心市街地再生 ピンチを好機と捉えて

 長野市権堂町の商店街にある「イトーヨーカドー長野店」が閉店する見通しとなった。

 客足は減っていたものの、中心市街地で40年余にわたって親しまれてきた。どこで買い物をすればいいのか、地域が寂れる―。住民から不安の声がもれる。

 核店舗の撤退は痛手に違いない。ここは商店街関係者と市民、市が協力し、人口減少時代を見据えてまちづくり構想を描き直す好機と捉えたい。

 店舗の建物と敷地は長野電鉄が所有する。当面は後継テナントが焦点になりそうだが、見つかったら終わりでは物足りない。

 権堂地区に人の流れをどう取り戻すか。計画と実践の前提になるのが「診断」だろう。

 地区の人口と年齢構成、その将来推計を基に商店街の通行量と売上高の現況をつかみ、目標値を定める。各地の中心市街地で増えている空き地、空き家、空き店舗の数の把握も必要だ。

 商店街の衰退に悩まされてきた和歌山市は、5年前からまち再生講座を開いてきた。受講生が次々とまちづくり会社を設立し、商店街にも出店。毎月のイベントを手掛け、集客に貢献する。

 商業に限らず、地域振興の会社を置く例は、長野市を含む全国の自治体でみられる。民間のアイデアと投資を引き出し、起業の受け皿として機能しているか、改めて検証しておきたい。

 欧州北部では、自動車の交通を大胆に規制し「誰もが歩いて楽しめる空間」として、中心市街地のにぎわいを創出している人口10万ほどの都市が目立つ。

 日本では自動車中心の都市整備を推進した結果、郊外の開発が広がり、中心市街地の空洞化を招いてきた。長野市がいま、試験的に中心部への乗用車の乗り入れを抑えてみることは「突拍子もない発案」とは言えまい。

 少子高齢化に伴い、地方財政は厳しさを増している。自治体が再整備に関わるとしても限界がある。既存のインフラを最大限に生かす視点は欠かせない。

 昨年、改正都市再生特別措置法が成立し、市町村の裁量で空き物件の有効活用が可能になった。国の政策の軸も、郊外開発から中心市街地活性化に移りつつある。追い風は吹いている。

 長野市の加藤久雄市長は、閉店について「あくまで民間の話」とする。中心市街地の持続可能性を探るのは、これからの自治体の大きな課題だ。さらに工夫を重ね、モデルケースを示せるといい。

(9月11日)

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