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介護福祉士 県内養成に影 今春の入学者 定員の4割未満

 介護職で唯一の国家資格「介護福祉士」を養成する県内の短大や専門学校で、今春の定員に占める入学者の割合(定員充足率)が37・9%にとどまったことが16日、県への取材で分かった。このところ減少傾向で、4割を切るのは初とみられる。高齢化で介護需要が増す中、介護の質を高め、現場をリードする専門職の育成にも黄信号がともる。

 介護福祉士は、初任者研修(旧ホームヘルパー2級)、実務者研修(同1級)修了の上位にある資格。生活援助や身体介助に加え、「利用者の自立生活に必要な支援を把握し、他の職員や家族への助言も期待される。利用者の生活の質を大きく左右する専門家」と、県介護支援専門員研修委員で松塩筑木曽老人福祉施設組合(塩尻市)管理課長の磯村政範さん(57)は話す。

 認知症や一人暮らしのお年寄りが増える中、国も現場の「中核的役割」を期待するが、介護福祉士の養成課程がある県内11校の2019年度の入学者は定員計420人に対し計159人にとどまった。充足率は昨年度を9・2ポイント下回り、入学者が計435人(充足率78・2%)だった10年度の約3分の1だ。

 入学者の落ち込みが目立つようになったのはここ数年。長野女子短大(長野市)生活福祉専攻は1学年20人が定員だが、1、2年生それぞれ10人未満。飯田女子短大(飯田市)福祉学科も今春の卒業生は定員と同じ40人だったが1、2年生は30人を割った。

 介護福祉士の国家試験は養成校を出ていなくても実務経験3年以上などで受験できる。ただ、16年度から受験資格に実務者研修(450時間)が義務付けられ、働きながらの取得は簡単ではない。こうした状況から、かつて年2千人前後いた県内の介護福祉士の新規登録者は昨年度、1200人余にまで減っている。

 背景にあるのは、少子高齢化に伴う人手不足だ。中信地方の養成校副校長は「介護職は雇用や賃金が景気に左右されず不景気だと人気が高まる傾向」とするが、近年は「どの業界も若者の取り合い」で、より好条件の業種に人材が流れがちという。

 国は介護職員の資質向上やキャリア形成に向け、介護福祉士の資格の有無などで昇給に差をつける処遇改善を現場に求め、報酬加算も行ってはいる。そうした事業所の常勤介護福祉士の平均月給(手当や一時金含む)は無資格者と比べて5万円ほど高い31万4千円(18年9月時点)。それでも全産業平均の36万6千円(17年)に届かない。県介護福祉士会の柳沢玉枝会長(66)は「日本の若者が介護現場で活躍し続けるには抜本的な待遇改善が必要。社会全体の問題だと考えてほしい」と訴えている。

(9月17日)

長野県のニュース(9月17日)