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機長、航空法違反疑い 県防災ヘリ事故 病歴・服薬申告せず

 松本市入山辺の山中で2017年3月、搭乗員9人全員が死亡した県消防防災ヘリコプター墜落事故を巡り、県警が死亡した男性機長=当時(56)=について、事故前に航空法で定められた航空身体検査で必要な申告をしなかったなどとして航空法違反の疑いで調べていることが16日、関係者への取材で分かった。県警は機長について、業務上過失致死の疑いでも調べている。両容疑について容疑者死亡のまま書類送検する方向で、詰めの捜査を急いでいる。

 関係者によると、機長は持病の甲状腺機能亢進(こうしん)症や手術歴がある膝付近の動脈の病気で投薬治療中だった。しかし事故前の16年9月に受けた航空身体検査では、航空法で義務付けられた申告をせずに国の航空身体検査証明を受けていた疑いが持たれている。

 同法などの規定によると病歴や薬の服用は、最初に診断や処方をされた時や年1回更新が必要な航空身体検査証明を受ける際に申告する必要があった。

 国土交通省運輸安全委員会は昨年10月に公表した事故調査報告書で「検査基準への適合性が確認されるまで、航空業務を行ってはならなかった」と指摘していた。

 捜査関係者によると、業務上過失致死容疑について、機長は松本市入山辺の上空を飛行中、鉢伏山近くの尾根が迫って事故が予見できたのに、注意義務を怠って高度を上げるなどの回避操作を取らず、同乗者8人を死亡させた疑いが持たれている。事故当日の天候は良好で、回収した機体やエンジンから不具合は見つからなかったという。

 事故は17年3月5日午後1時41分ごろに発生。機体は松本市入山辺の山中の樹木に衝突、谷あいの斜面に墜落した。機長と、同乗の整備士や消防隊員ら計9人が死亡。国内最悪規模のヘリ事故だった。

 県警は松本署に捜査本部を設置し、容疑者不詳の業務上過失致死容疑で県庁の危機管理部と県消防防災航空センター(松本市)を家宅捜索。機内映像の分析や、県消防防災航空隊の隊員、OB、県危機管理部職員らの参考人聴取を進めてきた。

(9月17日)

長野県のニュース(9月17日)