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目黒虐待死裁判 DVと不可分浮き彫りに

 子どもの命を守るべき親の責任を放棄したことを重く見た判断だろう。東京・目黒で5歳の船戸結愛(ゆあ)ちゃんが虐待死した事件で、母親の優里被告に、東京地裁の裁判員裁判で懲役8年の実刑判決が言い渡された。

 傷害と保護責任者遺棄致死で起訴された父親の雄大被告が暴力を振るうのを放置し、衰弱した結愛ちゃんを医師に診せずに死なせたとして保護責任者遺棄致死に問われた。検察の懲役11年の求刑に対し、弁護側は、優里被告が関与した度合いは低く、懲役5年が相当と訴えていた。

 虐待の実態とともに公判で明らかになったのは、雄大被告によるドメスティックバイオレンス(夫婦間の暴力、DV)だ。優里被告は起訴内容を大筋で認める一方、「夫の命令は絶対。ロボットのように、言うことを聞くのに必死だった」と述べている。

 「女として母として努力が足りない」「しつけができていない」…。雄大被告は長時間の説教を繰り返し、優里被告を追いつめた。謝り方を態度で示せと言われ、あざになるまで自分の太ももをたたいたこともあったという。

 殴る蹴るといった身体への激しい暴力はなくても、雄大被告に支配され、従属させられていた様子がうかがえる。虐待の加害者である優里被告はまたDVの被害者としての一面があった。

 今思えば誰かに助けを求めればよかった。でも当時は思い浮かばなかった。「助けて」のひと言が言えなかった―。優里被告は振り返っている。雄大被告が結愛ちゃんの食事を制限し、やせ細っていったときも、機嫌を損ねるのを恐れて逆らえなかったという。

 子どもへの虐待とDVは分かちがたく結びついている。にもかかわらず、関係機関の連携は弱い。千葉の小学4年生、栗原心愛(みあ)さんが死亡した事件も、そのことを浮き彫りにした。母親のDV被害に児童相談所は気づいていながら、対応した形跡はない。

 結愛ちゃんの事件でも、児相はDVの相談機関と連絡を取ってはいないようだ。虐待と重なり合うように起きていたDV被害は見落とされたに等しい。それが虐待を深刻化させてしまわなかったか。丁寧な検証が要る。

 児相とDV相談機関の連携を明確化する法改正が6月に成立した。とはいえ、どう具体化するかはまだ見えない。運営面の見直しにとどまらず、家庭内の暴力を一体的にとらえて相談や支援にあたる仕組みを検討したい。

(9月18日)

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