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生活基盤 復旧長期化も 東信地方 道路や鉄道寸断

護岸もろとも崩れた千曲川沿いの木工所=15日午前11時半、佐久穂町高野町護岸もろとも崩れた千曲川沿いの木工所=15日午前11時半、佐久穂町高野町 たもと付近が崩れた東御市の田中橋=14日たもと付近が崩れた東御市の田中橋=14日
 台風19号が猛威を振るった12日夜から13日にかけ、東信地方では千曲川や支流が濁流となって橋や道路、ため池に大きな被害をもたらした。生活道路や観光地への道、鉄道も寸断。ライフラインの復旧は長期化しそうだ。

 15日午前8時20分ごろ。上田市の国道18号大屋交差点では、渋滞する車列の隣を子どもたちが歩いて追い抜いていった。3、4キロ東の東御市で田中橋、海野宿橋が不通。県警によると、一帯では最長4キロほどの渋滞となった。

 海野宿橋は、重要伝統的建造物群保存地区の海野宿への玄関口。東御市によると、下方の千曲川堤防が破損して市道の一部も崩れ、観光客用の駐車場も被害を受けた。「観光客はゼロ」。農産物や土産物などを扱う栗林大貴さん(26)は3連休最終日の14日、店先でこぼし、規制の長期化を懸念した。

 田中橋付近では車3台が転落し、行方不明者も出ている。上田市武石地域でも武石新橋が一部崩落。2トントラックが転落し、けが人が出た。迂回(うかい)路がなく、268世帯586人が孤立状態に陥った。同市真田町長の神川に架かる四日市橋のたもと付近も崩れ、通行規制。東御市では生活道路の橋が複数崩落し、うち鹿曲川に架かる切久保橋は水道管が通っていた。420戸で断水が続く。

 南佐久郡佐久穂町大日向の抜井(ぬくい)川沿いは、国道299号に15日も土砂が堆積していた。90代の女性が一人で暮らしていた木造2階建て住宅は裏山から押し出した泥流で全壊状態。女性は当時不在で事なきを得た。40代女性は、地面から1メートル余り泥に漬かった自宅に「予想はしていたが、まさかこんなにとは…」。

 同町曽原地区では曽原川沿いに3カ所あるため池の大半が土砂で埋まった。町は一時、ため池が決壊する恐れがあるとして同地区に避難勧告を出した。町民が避難した生涯学習館「花の郷(さと)・茂来(もらい)館」では、15日で4連泊となる大日向の80代女性が「冬物の服は全てやられた。眠れない」。

 同町高野町の千曲川沿いの木工所は護岸がえぐり取られて半分ほど崩れ、旋盤などの加工機械も失った。経営する丸山精一さん(82)は「ショックなんてもんじゃない。再建は別の場所を考えなくては」と嘆いた。

 佐久市では14日、田口の蕃松(ばんしょう)院の裏山で地滑りの危険性があるとして住民に避難を促した。15日に県などが地滑りではないと判断し家に戻れたが、裏山の墓地は倒木などが散乱。檀家(だんか)の鷲見和人さん(78)は「土砂や材木、他の人の墓石と一緒になってぐちゃぐちゃ。悲しい」。南佐久郡川上村は秋山、居倉、原、大深山の4地区のかんがい施設の取水口が土砂で埋まったり、破損したりした。

(10月16日)

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