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比残留日系2世 無国籍解消へ国も行動を

 太平洋戦争後の混乱で無国籍になったフィリピン残留日系2世が、日本国籍を得られるよう訴えている。代表団がこのほど来日し、請願書や両国で集めた計約4万1千筆の署名を国会議員に手渡した。

 戦前や戦中にフィリピンに渡った日本人と現地女性との間に生まれ、父親の戦死や強制送還などで現地に取り残された人たちだ。外務省の調査によると、今年3月時点で1069人に上る。平均年齢は80歳を超えている。

 残された時間は少ない。日本政府は、中国残留邦人に対して行った支援を踏まえ、戦後の残された課題として位置づけ、早急な対応に乗り出すべきだ。

 戦前、米国領のフィリピンにはマニラ麻栽培といった事業のために渡る日本人が多く、最盛期は約3万人を数えたとされる。

 戦争で、フィリピンは日米の激戦地となった。日本人は現地で召集され、日本軍と行動をともにする中で戦死したり、捕虜となって戦後に強制送還されたりした。

 残留日系2世は、生まれた当時の法律に照らすと、日本国籍を取得できた。手続きができないまま戦後を迎え、反日感情が高まる中で迫害や差別を恐れて出自を隠して生きてきたため、無国籍状態が続いている。

 日本国籍の取得には、父親が日本人である証明が必要だが、失われていることが多い。

 家庭裁判所の調査や審理を経て許可を受け、新たに本籍を設定して戸籍を作ることで国籍を得る方法もある。手間や時間がかかり、支援するNPO法人フィリピン日系人リーガルサポートセンターによると、民間の手では年間20人程度が限界という。

 今回の来日で、代表団は▽厚生労働省が状況調査や身上資料の作成・保管を行う▽中国残留邦人等帰国促進・自立支援法を改正し、フィリピン残留日系人も援護対象とする―などを求めた。日本政府が一括救済するしか解決の道はないと強く訴えている。

 国策の満蒙(まんもう)開拓団として多くの日本人を送り出し、中国残留邦人を生み出したのとは事情が異なる。が、戦争に巻き込まれ、その後、長く苦しい生活を余儀なくされた境遇に差はない。

 フィリピン政府はいま、国連難民高等弁務官事務所と連携し、残留日系2世に「無国籍者認定」を行い、さまざまな弊害の軽減に取り組んでいるという。日本政府も、無国籍の解消に向けて行動を起こす時だ。

(11月4日)

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