長野県のニュース

産業の台風復興 実情に合う細かな支援を

 台風19号による県内の農林業や企業の甚大な被災状況が明らかになっている。

 特に心配なのは、ともに後継者不足に苦しむ農林業の生産者と中小企業である。

 生産者は高齢化が進んでいる。被害から立ち直り、生産を元に戻すのは簡単ではない。被害を機に廃業が進む懸念もある。

 農業は地域の基盤だ。衰退すると地域の活力が落ちていく。人口も減少し悪循環に陥る。

 中小企業も同様だ。経営環境が厳しい中で地域経済や雇用を支えている。従業員だけでなく、取引先企業で働く人たちの生活の糧にもなっている。

 実情や要望に応じた、きめ細かな支援をしたい。

 農林業関係は県の10月24日時点の発表で計162億7300万円に上る。前回18日時点から50億円以上増えており、今後さらに増えていくだろう。

 被害は多岐にわたる。農産物や果樹のほか、ビニールハウスなどの生産施設が損傷した。畑や水田に土砂が流入し、取水施設などの農地・農業用施設が壊れた。

 千曲川の堤防が決壊した長野市穂保周辺は県内有数のリンゴ産地だ。広い範囲で畑が泥や土砂に埋もれ、収穫を控えていたリンゴや果樹が被害を受けた。薬剤噴霧車などが水没し、1千万円近い損害が出た生産者もいる。

 佐久市では世界かんがい施設遺産の五郎兵衛用水に土砂が流入し、揚水機も水没し故障した。

 企業の被害も深刻だ。工場が浸水して生産や電気の設備が故障して使えなくなり、操業を阻んでいる。再開できても生産能力が大幅に落ち込んだ企業も目立つ。決算への深刻な影響が既に明らかになった大手企業もある。

 観光業への影響も出ている。被害がなかった観光地でも風評被害がある。大量キャンセルがあった施設も経営に打撃になるだろう。

 農林水産省は既存の事業を活用し、農業用ハウスや畜舎の復旧、果樹の植え替えに必要な費用を補助するなどの支援をする。

 台風19号が激甚災害に指定されたことに伴い、被災した中小企業が事業再建資金を借り入れる際の優遇措置も設けられる。

 有利な融資や助成金だけでなく、人的支援が必要になる場合もあるだろう。市町村や県、国だけでなく、農業団体や業界団体は被災者の要望を聞き、何が求められているのか把握してほしい。

 正確な情報発信で観光への打撃を軽減することも欠かせない。

(11月5日)

最近の社説