長野県のニュース

プレミアム商品券 効果の検証が欠かせない

 当初から懸念されていたことが現実になりそうな様相である。

 消費増税後の低所得者や子育て世帯向け対策として始まったプレミアム付き商品券だ。

自治体に購入を申請したのが対象者の3割程度にとどまっていることが分かった。

 1人2万円の自己負担で最大2万5千円分の買い物ができる商品券が購入できる。9月末時点で3歳半までの子どもを育てる世帯と、住民税非課税の低所得層の計約2450万人が対象になる。

 県庁所在地と政令市、東京23区を対象にした共同通信の調査だと、多くの自治体で対象者の4割未満しか購入しておらず、2割未満の自治体も12%あった。

 政府は発行事業に1819億円の予算を計上した。ただ、印刷代などの事務経費がかかり、消費に回るのは3分の2しかない。

 その多くは将来の消費の先取りとみられている。専門家の試算だと、経済効果は500億円程度とされる。発行率が低いと効果はさらに薄まるだろう。

 問題点は開始前から指摘されていた。まず手続きの煩雑さだ。子育て世帯には購入引換券が自動的に送られるが、低所得者は市町村に事前に申請して審査を受ける必要がある。高所得世帯の専業主婦など、住民税が非課税でも対象にならない場合があるからだ。

 低所得者には購入費の工面が難しいとされる。来年3月末までしか使えず、使える店舗に制限があることも広がらない原因とされる。制度設計に問題があったことは否めない。

 商品券は消費税率を5%から8%に引き上げた際も、約2400億円の国費で実施された。その際は所得制限を設けなかったものの、消費の喚起効果は内閣府の試算で1千億円程度、民間シンクタンクの試算はさらに低かった。

 政府は前回の効果も十分に分析せず、さらに複雑な仕組みを導入して効果を減退させたのではないか。子育て世帯の対象者が詳細の決定前に徐々に広がった経緯もある。「生活に困っている人を支援している」という政府のパフォーマンスの面が否めない。

 制度の周知や手続きの簡略化など問題点を改善しなければ、国費の無駄遣いに終わりかねない。

 ポイント還元などを含めて約2兆3千億円が増税対策として投入された。増税のために歳出が膨らみ、財政健全化目標の達成が見通せない状況が続く。必要で効果的な対策だったのか。十分に検証することが欠かせない。

(11月5日)

最近の社説