長野県のニュース

パリ協定離脱 極まる米国の独り善がり

 トランプ米政権が、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を正式に通告した。

 世界2位の温室効果ガス排出国だ。近年の相次ぐ異常気象や自然災害で、国際機関やNPOが地球温暖化への警鐘を鳴らし、対策強化の必要性を説いている。独り善がりで無責任と言わざるを得ない。

 国連の気候変動に関する政府間パネルが9月に公表した特別報告書によると、海面の高さは約100年で最大21センチ上昇した。温室効果ガスを排出し続けると、今世紀末には20世紀末に比べ最大1・1メートル上がると予測する。

 海温の上昇により、海の生態系に深刻な変化が出て漁獲量が減り、勢力の強い熱帯低気圧が増えて高潮などの災害リスクが高まる―とも警告している。

 今年、欧州で大規模な熱波が発生し、アフリカで降雨や高温が頻発してマラリア感染が急増した。東日本を襲った台風19号は勢力が衰えないまま接近、上陸し、大洪水をもたらした。いずれも地球温暖化との関連が指摘される。

 南太平洋の島国ツバルは、国土水没の危機を訴え、人工島造成の計画を明らかにした。

 温暖化を抑えるには、温室効果ガスの排出量を全世界で大幅に削減するしかない。

 パリ協定は、今世紀後半に温室効果ガス排出を実質ゼロにして、産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑えることを目指している。190近い国と地域が、自主的な目標を掲げて取り組む。

 2020年の本格始動に向けて開かれた9月の気候行動サミットでは、スウェーデンの少女グレタ・トゥンベリさんから広がった活動が各国を後押しし、77カ国が50年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする目標を示した。

 壊滅的な地球温暖化を避けようとする機運は、世界共通の流れになっている。

 トランプ米政権は、17年6月に離脱方針を表明していた。「米国の労働者やビジネスに不公平な経済的負担を強いる」というのが理由だ。異常気象や自然災害のリスクの高まりに、米国政府は対処できるのか。

 パリ協定を巡っては、日本も積極性が見えない。石炭火力を温存し、50年の温室効果ガス排出削減目標は80%減だ。

 地球の環境と未来を守るには、国際協調が欠かせない。米国の離脱通告が各国に悪影響を及ぼさないよう、日本は率先して排出削減に取り組むべきだ。

(11月6日)

最近の社説