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合併で人口減 負の側面を直視せねば

 市町村合併の負の側面を鮮明に示している。「平成の大合併」で合併したおおむね4千人未満の旧町村地域は自立を選択した近隣自治体より人口減が加速傾向にある―との調査結果を日弁連が公表した。

 合併後に旧町村が衰退するとの懸念は当時からあった。国も地方も功罪を直視し、地域社会の未来を根っこから議論するきっかけとすべきだ。

 調査では旧町村と近隣で存続した自治体を一組にして人口減少率を比較した。47組のうち9割に相当する43組で合併旧町村が近隣自治体を上回った。

 県内で調査対象となった7組はすべて旧町村の方が高い。差がわずかな組もあるが、長野市と合併した旧大岡村は東筑摩郡生坂村より16・2ポイントも高かった。

 雇用の場となる役場がなくなり、公共サービスも集約化された地域では、商店や事業所の廃業、保育・教育サービスの縮小などにつながる負の連鎖に陥りやすいと考えられる。

 1999年から2010年まで進められた「平成の大合併」で、全国3232市町村が1727に、県内120市町村が77に減少した。日弁連は、合併のマイナス効果について国や19道府県が過去にまとめた報告書は不十分、不適切だと批判している。

 総務省の有識者研究会は複数の市町村で構成する「圏域」を新たな行政主体とし、中心都市が業務をけん引するよう提言した。地方制度調査会(地制調)で議論している。

 これまでも広域圏で市町村の連携は図られてきたが、「圏域」は事実上の合併に近い。人口減少に合わせて機能や権限を中心部へ集約する発想だ。東京一極集中の是正に向けて全国82市を国が重点支援する「中枢中核都市」も、同じ方向を見ている。

 ただ、行政の効率化一辺倒ではかえって人口減に拍車がかかり、衰退を招く側面があることは今回の調査からも明らかだ。

 中心部にモノやカネを集中させても、より大きな中心へ人口が流出する流れは止められない。東京一極集中が解消しないのも、地方行政が合理化、効率化でやせていくことが一因だ。

 実情は地域で異なる。「平成の大合併」を教訓にすれば、地域のコミュニティーをできるだけ維持する視点は欠かせない。国は一律的な施策を押しつけるのでなく、自治体と住民が主体的に描く未来像を多面的に支援すべきだ。

(11月8日)

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