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国会の集中審議 首相は責任放棄するのか

 これでは国民の疑問にこたえていない。

 衆院予算委員会の集中審議における安倍晋三首相の答弁である。野党の質問は、2閣僚の辞任に対する首相の任命責任や、大学入学共通テストへの対応に集中した。

 公選法違反疑惑で辞任した菅原一秀前経済産業相と河井克行前法相は、国会で事実関係を詳細に説明する前に事実上更迭され、説明責任を果たしていない。

 首相は予算委で「任命した者として責任を痛感している」と述べている。これまで何度も口にしてきた言葉と同じだ。責任の取り方も具体的に言及していない。

 第2次安倍内閣以降、閣僚の辞任は10人になる。首相はそのたびに同じ釈明を繰り返し、検証を不十分なまま放置した。

 任命責任を痛感するのなら、国会で説明するよう両氏に求めるのが筋である。首相は両氏の説明責任について「自ら果たしていくと考えている」と述べるだけだ。うやむやにするのでは、同じことがまた繰り返されるだろう。

 自民党の委員からは2人を「見識、人物ともに信頼できる方で適任だった」との擁護も出た。責任の大きさを認識しているのか。内閣と与党がなれ合い、問題を風化させることは認められない。

 大学入学共通テストでは、あと半年足らずで実際に受験が始まる時期になって、英語民間検定試験の導入が見送られた。

 これまで大学や高校の現場から懸念や不安の声が出ていた。それに耳を傾けず、萩生田光一文部科学相の「身の丈」発言で批判が集中するまで放置した。受験生を混乱させた責任は重い。

 懸念はまだ多い。国語、数学の記述式問題は自己採点が難しく、採点側の質や客観性も問われている。予算委では採点業務に「学生のアルバイトが入るのか」との質問を萩生田氏は否定しなかった。

 このまま実施するのは問題が多いのに、萩生田氏は予定通り導入する考えを示し、首相は「安心して受験できる環境を整えることが重要だ」と述べただけだ。公平性を担保できなければ、受験生の不安がさらに広がるだろう。

 首相は学校法人加計学園を巡る質問に、議員を指さしながら、やじを飛ばした。

 首相はこれまで何度も不規則発言をしている。そのたびに注意を受け、審議が紛糾している。品位を欠き、丁寧に説明する姿勢に程遠い。きょうは参院予算委で集中審議が開かれる。首相は真摯(しんし)に向き合わなければならない。

(11月8日)

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