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きょうは二十四節気の立冬。長野市の戸隠神社奥社の参道ではカメラを手に大勢の人が日の出を待ったことだろう。入り口の鳥居や、ほぼ中間にある随神門のかやぶき屋根の真上に太陽が昇り、杉木立の参道に日差しが真っすぐ伸びる

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立冬と立春を中心に前後のわずかな期間しか見られない光景だ。戸隠山頂から東南東に延びる直線上に奥社や参道、鳥居が配置されている。その先にある山から日が昇る。宮沢和穂著「玄冬の戸隠」によれば、古来からの神話や祭りと深い関わりがある

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「天(あま)の岩屋戸(いわやど)神話」は太陽の衰弱と再生の物語だ。日本の祭りは神迎え、神祭り、神送りの段階がある。それを踏まえて考察している。鳥居は立冬の朝、衰えつつある太陽を奥社に迎え入れる。冬至を過ぎて太陽は再生に向かう。勢いを増していく太陽を立春の日に送り出す、と



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立冬を迎えても、日中の日差しは暖かい。小春日和である。気象キャスターとして活躍した長野市出身の故倉嶋厚さんは著書「癒しの季節ノート」に「11月の天気は木枯らし、時雨、小春日和に代表される。人生にも、この三つがあてはまる」と書いた

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妻の死、うつ病の発症など厳しい木枯らしに苦しんできた。やっと人生の何度目かの小春日和にいる。次の木枯らしは時には泣きわめきながらでも通り過ぎよう―。「冬への旅立ち」というエッセーだ。「再生」に思いをはせて冬を迎え入れれば、身構えた心も体も幾分ほぐれるだろうか。

(11月8日)

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