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がん治療遺伝子 新たな「運び役」 信大と東芝、極小カプセル共同研究

 信州大(本部・松本市)医学部の中沢洋三教授(48)らの研究グループと東芝(東京)は11日、がん遺伝子治療でがん細胞に治療遺伝子を送り込む「運び役」として、同社が技術を持つナノカプセルの「生分解性リポソーム」を使う共同研究を始めたと発表した。従来のウイルスを使う手法に比べて生分解性リポソームはがん細胞内で分解するため安全な上、より効果の大きい遺伝子を運べ、高い治療効果が期待できるという。

 がん遺伝子治療は、治療遺伝子が細胞核内でタンパク質を作り、がん細胞を殺す。「生分解性リポソーム」は脂質が主成分で、部位に直接投与する手法などを検討する。両者は安全に効率よく遺伝子を運ぶ手法を目指し臨床応用に向けた研究を進め、早期の実用化を目指す。

 同社などによると、これまでのがん遺伝子治療では、遺伝子組み換えで増殖を抑えたウイルスを利用して、治療遺伝子を送り込んでいた。ただ、安全面から医薬品化のハードルが高く、培養が必要で量産面でも課題があった。

 中沢教授によると、治療効果のある短いDNAなどを、狙った部位に運ぶ治療法として、一部難病を対象にした「核酸医薬」の手法がある。生分解性リポソームは、核酸医薬より治療効果の大きい遺伝子を運べるという。また、さまざまながんに合わせ、正常細胞と区別して、がん細胞のみを攻撃するよう調製できるとしている。

 従来の抗がん剤や放射線による治療は、正常細胞もダメージを受け、がんが耐性を獲得して効きにくくなることもある。がん遺伝子治療で、新しい「運び役」が実用化すれば、こうした難治性がんへの効果が期待できるとする。

 中沢教授は、がん細胞だけを攻撃する新たな免疫療法「CAR(カー)―T細胞療法」の研究も進めており「副作用のない、難治性がんの新しい治療法を開発したい」。同社は「安全で量産が容易な遺伝子運搬技術を開発し、がんの遺伝子治療の普及に貢献したい」(広報・IR室)としている。

(11月12日)

長野県のニュース(11月12日)