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子ども貧困対策 個々に寄り添い細やかに

 政府が新たな「子どもの貧困対策大綱」を閣議決定した。

 対策の効果の検証に用いる指標を、これまでの25項目から39項目に増やしている。

 家庭によって異なる貧困の実態は見えにくい。指標の数値改善だけにとらわれることなく、自治体や民間団体とともに、個々に寄り添った実効性のある施策の展開に努めなくてはならない。

 子どもの貧困問題に光が当たったのは最近のことだ。2014年に貧困対策推進法が施行、政府も大綱をまとめた。

 5年ごとの見直しで今回、指標に▽光熱水費の未払い経験▽食料や衣服が買えない経験▽ひとり親の正社員の割合―などを加え、現状にそぐわない項目を削った。

 12年に16・3%に上った「子どもの貧困率」は、国の取り組みもあり、15年には13・9%に下がっている。それでも先進国では高い水準にあり、7人に1人が貧困状態に置かれている。

 安倍晋三政権は教育格差の縮小を重視する。大切な視点ではあるものの、事情はより複雑だ。

 経済的に恵まれない世帯の子の学習時間が、所得の高い世帯の子を上回っても、学力で及ばないとの調査結果がある。社会からの孤立、不安定な親の就労、食料や生活必需品の欠如といった幼少期からの体験が、能力の向上に影響しているという。

 生まれてから自立するまでの切れ目のない支援―を掲げる政府は、子どもたちが普通の生活を送れるよう、経済と福祉の両面で下支えする必要がある。まずは、ひとり親世帯に対する税の減免や手当の拡充を急ぎたい。

 「寡婦控除」の対象に未婚のひとり親を含めようとの議論が起きた昨年、自民党は伝統的な家族観を壊し未婚を助長するとして反対した。役所では生活保護の相談に来た住民に、職員が事細かに生活履歴をただし屈辱感を与えるような対応をする例がある。

 現在は市町村にも貧困対策計画策定の努力義務が課されている。政治家や行政職員が現状認識を改めなければ、大綱や対策も形ばかりになってしまう。

 無料や低額で食事を提供する「子ども食堂」は全国で3700カ所に増えている。高齢者やひとり親も集う交流の場となり、悩みごとのある人を行政や支援団体へとつなぐ役割も担う。

 国と自治体はこうした民間団体の運営を支えつつ、意見や要望によく耳を傾け、きめ細かな施策を実現してもらいたい。

(12月2日)

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